私立学校と文部科学省の基本的な考え方のちがい
私立学校も文部科学省も教育や学力の基礎に「ことば」を据える。
しかし、その方向性はちがう
2004年末に、OECDから「2003年生徒の学習到達度調査(PISA)」の報告書がでた。結果は日本の生徒の「読解力」の国際ランキングが下がった。それを受けて2005年2月文部科学省は中央教育審議会で学習指導要領全体の見直しをする動きに出た。
東京私学教育研究所は、すでに2002年の学習指導要領改訂時以前から日本の教育の危機を認識し、「私立学校で基礎学力を考える際の諸問題」というテーマで検討をし続けてきた。
その中間発表は2004年3月に既に行われており、教育の危機回避のために動いたのは、またしても私学の方が早かったことになる。ともあれ2005年初めに動いた文部科学省の教育内容の改善の方向性は、今年2006年2月13日「中央教育審議会」審議経過報告における「基本的な考え方」としてまとめられ報告された。
ここには、すでに2年前に私学が報告していた「基礎学力の中心に『ことば力』をすえよう」という提言が盛り込まれた。ただし、「ことば力」という表現はとらず「言葉の重視」とか「コミュニケーション能力」という表現をとっている。
読み・書き・計算という基礎・基本レベルの「言葉」から学習や生活の基盤づくりの「言葉」まで、幅広く「言葉」を重視していこうという意欲が見られる。
審議経過報告には「コミュニケーション能力を重視すべきである、知識・技能を活用する力が重要であるなどといった、教育を通じて育てるべき『力』を教科横断的に明確にしていく必要がある」と表明。
一方東京私学教育研究所の報告書では「日本人としてのアイデンティティ確立に寄与する文化的教養力の軸」と「地球社会に生きる者として期待される『共生』のための異文化コミュニケーション力の軸」の2軸を合力とする「総合力」を基礎学力とし、その総合的な関係付けを果たすものが「ことば力」という構造になっている。
「ことば力」と「コミュニケーション能力」という微妙な表現のちがいに大きな意味がありそうだ。
[初出:NettyLandかわら版7月号]
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