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2007年1月31日 (水)

中堅校に目立つ入学者数の増加

2007年首都圏中学入試は間違いなく規模拡大へ!

首都圏における私立中高一貫校の在籍生徒数を、この2006年春の日能研によるアンケート調査(個々の学校データは「日能研学校情報Web」に掲載)の結果から、いくつか抜粋して下に紹介した。

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あくまで30数校の例をご覧いただいているに過ぎないが、それでもここ1~2年で、首都圏のいわゆる中堅の私学への入学者数が増加している傾向が感じ取れることと思う。

全国中学入試センター模試の、11月版『センター模試ニュース』では、来春2007年の首都圏中学入試の受験生総数は、「今春よりも5%以上増えるだろう」とお伝えしているが、こうした私学への入学者の増加傾向を見ると、その予想はまだ「控えめなもの」にさえ思えてくる。

もちろん、ここに紹介した私学のほとんどは、近年、受験生と保護者から将来性を期待される傾向が目立つ学校である。だからこそ応募者が増え、その結果として入学者も増えてくるのだ。そして、この他にも入学者が増加しそうな勢いのある私学は数多いので、関心のある方は「学校情報Web」で個々の状況を確認してほしい。

いずれにしても、2007年入試の受験規模が、かつてない大きさになることは間違いない。気持ちを引き締めて挑んでほしいと思う。

[初出:NettyLandかわら版12月号]
(北一成)

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2007年1月30日 (火)

脳科学から考える学校選択“古くて新しい”男子校・女子校

今年は脳を鍛えるソフト・教材から電卓まで様々な脳関連商品が発売され、脳トレブーム
とも言える一年だった。大人から子どもまで楽しみながら多いに脳が刺激されたことだろう。

最近では、脳トレのみならず脳科学が文系基調であった学習や教育の分野に取り入れられている。

例えば、アメリカでは脳の発達に男女差があるという研究から男女別のカリキュラムを採用する学校が増えている。一説では成長段階の男の子の場合はセロトニンが少なく、女の子の場合はオキシトシンが多い。このことから男の子には一日に短い体操の時間を数
度作り、女の子には教室の一角にカーペットを置き、いわば“おしゃべり”の場をつくった。テストも男の子と女の子でやり方を変えている。

「男の子は落ち着きがない」「女の子はいつまでもおしゃべりしている」と昔から言われるがそれを裏付けているよ今年はうだ。言うなれば、脳の発達に基づいて男女別学を行っていることになる。

有名な東北大学の川島隆太教授の研究によれば、簡単な計算、音読によって脳(前頭前野)が活性化することがわかっている。つまり、「脳を鍛える」=「前頭前野の機能を高める」と言い換えられるかもしれない。だが、米国立衛生研究所(NIH)によれば女の子の前頭前野は11歳までに最大の「厚さ」に発達する一方、男の子はそれより1年半遅れるという。それほど大事な前頭前野の発達に男女差があるのならば教育や学習に差が出てきても不思議ではない。

最近は共学校への人気が高まり共学化した学校もずいぶんと増え、首都圏の男子校・女子校はほぼ東京都と神奈川県に集中している。今こそ、“古くて新しい” 男子校・女子校を脳科学の観点から学校選択の視野に入れるのもいいのではないだろうか。

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参考:
Newsweek 日本語版 2005.9.28「男女共学は時代遅れ?」より
Newsweek 日本語版 2006 2.15「男子の学力低下が深刻なアメリカ。性差が学力格差を生む衝撃の事実と、「男女別学」という指導法の有効性を最新科学で解き明かす」より

[初出:NettyLandかわら版12月号]
(岡部 憲治)

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白梅学園清修の人気の秘密(2)

前回は、白梅学園清修の生徒手帳が生徒と教師のファシリテーションのメディアになっていることを話したが、今度は木目細かいコーチングのケース。

★スピーチコンテストを実施するための事前準備の木目の細やかさに驚く。まずスピーチとは何か、文章の論理とは何かを講義。

★そして、生徒たちは、自分で決めたテーマで書いた文章を教師に提出。教師は論理展開や説得性について指摘。4回以上のやりとりになるという。ここでは英語科の教師だけではなく、国語科の教師も協力する。

★やっと日本語の文章ができたところで、翻訳の作業。ここで再び壁。英語力の問題というより、日本語では論理的だと思っていても、英語に転換するとき、まだまだ思考があいまいであることに気づく。1つひとつの主張を明快にしていく作業を教師と生徒で七転八起。

★さて、こうしてできあがった英文。ここまでで十分木目細かいが、目標はスピーチコンテスト。発音の練習をしなければならない。ここがまた凄まじい。生徒の英文は、言うまでもなく、1人ひとり違う。

★ネイティブスピーカーのシャーリー先生は、そんなことには構わず、1人ひとりの英文の模範スピーチをパソコンに録音。そしてメールで各家庭に配信する。白梅学園清修のサイトを見ればわかるように、ネット上に保護者連絡システムを構築しているから、かくのように速やかにできる。

★生徒1人ひとりの多様性に本当にコーチング手法で対応している夢のようなケースではあるまいか。私が聞きだすまで、先生方は、このような教育活動は当然だと思っていたようだ。私がどうして驚愕しているか、ピンときていないようだった。人気の秘密はこの広報として巧まぬ教育への情熱が伝わっているということなのだろう。

(本間 勇人)

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白梅学園清修の人気の秘密

Photo_20 ◆今年の白梅学園清修の応募者数は、全体で昨年比123.4%(今年総数253人、昨年205人:2007年1月29日現在) 。英語の独自のカリキュラム、エリアコラボレーションのように他校とは全く違う部活に替わる活動の新開発、イギリスの研修旅行・・・。数々のユニークで魅力的でダイナミックなプログラムの開発が学校選択者に評価されているのだろう。

◆単純にそう思っていたが、それだけではなかったのである。白梅学園清修の生徒手帳は、六穴手帳。カバーは生徒1人ひとりの好みで、個性を表現できるが、中身の一部を拝見すると、なんと放課後から帰宅後のスケジュールを記載するページがあるではないか。

◆生徒たちは、毎日気づいたことを書いている。家庭学習、家の手伝いをどれくらいしたのか、就寝時間はいつなのか、他に何をしたのか、その時間はどれくらいなのか、振り返るシンプルなボックスまである。この手帳の中身の発想はスタンフォード大学の手帳だと柴田教頭先生。

◆なるほどと思いながら、生徒の使っている手帳を拝見していると、毎日生徒以外の文字が書き込んである。これは何かと尋ねると、担任の先生が毎日メッセージを書いているというではないか。

◆これこそ見えないカリキュラム。こういう努力が白梅学園清修の新しい歴史を形成しているのである。(本間 勇人)

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2007年1月29日 (月)

教育再生会議が学ぶこと

教育再生会議が動き出した。17人の教育再生会議有識者の議論は百家争鳴。
問題解決には私学の教育をモデルにするしかない。

教育再生会議が、安倍首相の肝いりで内閣に設置され、今年10月18日に第1回会議が開催された。

ところが、その直後日本中を必修科目の履修漏れ問題が襲った。11月1日時点での文科省の集計によると履修不足が判明した学校は、全国で計540校(公立314校、私立226校)。

文科省は「平成18年度に高等学校の最終年次に在学する必履修科目未履修の生徒の卒業認定等について」という依命通知を出し、一応事態収拾。

東京私立中学高等学校協会会長近藤彰郎先生(八雲学園理事長・校長)は「履修不足問題がこれほど全国に広がるのはおかしい。現場で読み替えたり、アレンジしたりするのは当然のこと。今回の文科省や教育委員会の対応は、この創意工夫まで履修不足だと言っているようなもの。アレンジせずに決められた通りにやれと言っているに等しい。これでは全体主義だ。」

文科省の対応の仕方によっては、1人ひとりの子どもたちのニーズに合わせて創意工夫する成熟した教育を否定することになると指摘。

「今回の問題はある意味、結果的に重要な論点を明らかにした。公立学校においては、ゆとり教育と現場の教育の歪みが露呈したわけだ。履修していないのに履修していると報告する行為に問題はあるが、現場に屈折した対応策をとらせたのは文科省自身だろう。
私立学校は、もともと校長裁量で、学習指導要領をアレンジし、生徒たちの夢を実現する学びの環境を作ってきた。
今回そのアレンジの幅が問題になったようだが、実は何の問題もなかったのだということになるだろう。
今回対象になったのは、大学進学のために一生懸命勉強している生徒たち。一方、公立高校で、分数の計算ができない生徒がたくさんいる。画一的に微積を教えても習得できない。現場でアレンジしなければ履修を認定できない生徒がたくさんいる。」

生徒1人ひとりのニーズに適合した多種多様な教育は、現場の創意工夫から生まれる。私立学校間の競争は、この教育の質の切磋琢磨にある。

公立学校間の競争は大学合格実績という量の論理。この経済優先の競争原理の歪みが今回の問題につながった。

11月、東京私立中学高等学校協会の創立60周年記念式典と第54回全国私学教育研究集会東京大会を同時進行で開催した近藤会長は、「安倍内閣は、教育改革を主要な政策としている。そうであれば建学の精神を礎に、時代の要請に応えていく、全国の私立中学校高等学校の姿をご覧いただきたい」と高らかに謳った。

教育再生会議は量の競争ではなく、質の競争を私学から学ぶべきではないかということだろう。

教育再生会議有識者
浅利慶太:劇団四季代表・演出家
池田守男:株式会社資生堂相談役 ○
海老名香葉子:エッセイスト
小野元之:独立行政法人日本学術振興会理事長
陰山英男:立命館大学大学教育開発・支援センター教授
       立命館小学校副校長
葛西敬之:東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長
門川大作:京都市教育委員会教育長
川勝平太:国際日本文化研究センター教授
小谷実可子:スポーツコメンテーター
小宮山 宏:東京大学総長
品川裕香:教育ジャーナリスト
白石真澄:東洋大学経済学部教授
張 富士夫:トヨタ自動車株式会社会長
中嶋嶺雄:国際教養大学理事長・学長
野依良治:独立行政法人理化学研究所理事長 ◎
義家弘介:横浜市教育委員会教育委員、東北福祉大学特任講師
渡邉美樹:ワタミ株式会社代表取締役社長・CEO
       学校法人郁文館夢学園理事長
※◎座長 ○座長代理  ※首相官邸サイトから

[初出:NettyLandかわら版12月号]
(本間勇人)

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2007年1月28日 (日)

「ダーウィンの悪夢」を乗り超える横須賀学院

「ダーウィンの悪夢」というドキュメンタリー映画が話題になっている。日本のレストランで名前が明示されていない白身の魚を食すことも多いだろうが、たいていはアフリカ・ビクトリア湖で大量に繁殖しているナイルパーチというスズキの仲間の魚らしい。2メートルにも成長するという。

◆ビクトリア湖はもともと「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていたが、食用のためにナイルパーチが放流されてからというものすっかり生態系が変わってしまったという。どこかブラックバスに似ているが、ことは自然の生態系破壊だけではなかった。ビクトリア湖周辺の貧困問題やエイズ、ドラッグ問題など社会や精神の生態系まで破壊してしまったという重大な問題が発生している。

◆このことについて、横須賀学院秋元先生は、日本の食に世界の貧困問題を見抜く学習プログラムを創っているそうである。詳しくは朝日新聞(2006年12月29日)やこのことについて触れている「人間学を学ぶブログ~こころは超臨界」「ほぼ日刊イトイ新聞」を参照していただきたい。

◆もともと明治以降の日本の近代化路線は、官僚型近代化路線ともう1つの私学の理念型近代化路線があるというコンセプトをベースにしていたところ、最近麻布学園の氷上校長先生の江原素六に学ぶ話を聞いて、さらに確信を抱いていただけに、「ダーウィンの悪夢」に代表される官僚型近代化の系譜に対峙する横須賀学院というプロテスタント校の教育活動に代表される私学の理念型近代化の系譜という考え方がぴたりと当てはまってしまったのである。

◆横須賀学院は、もともと青山学院の分校の跡地に、キリスト教主義の精神をこの地から忘却させてはならないという意志のもと創立された。それは青山学院の精神という以上に「官僚型近代化=富国強兵の系譜」に対峙する(あるいは乗り超える)「理念型近代化=私学の系譜」を横須賀の地に継承しようということだったのではないだろうか。

※参考→横須賀学院の挑戦について

◆「富国強兵の系譜」は、東大初総理加藤弘之のダーヴィニズムを基礎とする「優勝劣敗」につながる。その時代、福沢諭吉、新島襄、江原素六、高橋是清、新渡戸稲造、内村鑑三は、私学の精神を創造した。多くの私立学校が今もこの系譜に続いている。

◆自分の子供たちの未来が平和で明るく自由な雰囲気の社会に開かれていることを祈らない親がいるだろうか。私立学校の入試が始まっている今、改めて子供たちの心と身体と知の豊かさを保守する環境を選択することの重要性を感じないではいられない。(本間 勇人)

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女子カトリック学校の原点

女子カトリック学校に訪れるとルルドの聖母マリアに出会うが、そのルルドの泉に女子カトリック学校の原点がある。

湘南白百合東京純心の正門を通って、受付まで歩いていくとその途中でルルドの聖母マリアに出会う。函嶺白百合の場合は校舎の中心にルルドの聖母マリアとベルナデッタが現れる。

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1858年2月、村の14歳の少女ベルナデッタ・スビルーが郊外のマッサビエルの洞窟のそばで薪拾いをしていると、聖母マリアが現れ、ご自分を「無原罪の御宿り」であると名乗ったという。そして、洞窟から湧き出るルルドの泉は様々な病気を治すなどの奇跡を起こしたといわれている。以後この話がヨーロッパ中に広がり巡礼の場所となった。

この奇跡の出来事を記憶するためにルルドの聖母マリアが、各学校で設置されているのだろうか。もちろん、それもあるだろうが、他に最も大事なことがある。東京純心の高橋正先生によると、

「聖書の中で、聖母マリアは前面に現れてはきません。しかし、世の人々が困っているときや悩んでいるとき、目立たないところで、大きな支えとなっていたはずです。
キリストが人類の救いのために十字架にかけられたときも、その悲しみは誰よりも深かったと思いますが、その分イエスの苦しみを一心に受け入れたでしょう。
ですから、生徒たちが苦しいことに直面したり世界の痛みを感じたとき、聖母マリアだったら、どのように思い感じ受け入れたであろうかを考えるしるしとしてルルドの聖母マリアはあるのではないでしょうか。」

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女子カトリック学校では、目には見えない聖母マリアの働きかけを考え思い、他者のために仕える自分のクオリティを豊かにしていく人間教育を実践している。その原点が、ルルドの聖母マリア像なのである。

[初出:NettyLandかわら版11月号]
(本間 勇人)

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2007年1月27日 (土)

東洋経済は私学に期待?

◆「週刊東洋経済(2007年1月27日)」は特大号。「ニッポンの教師と学校」を全解明するという特集記事を掲載。

◆45ページにもわたる膨大な『量』の特集。それにしても特集のトーンは『量』的リサーチ以外の何ものでもない。世界は『質』的研究に力を注いでいるというのに、相変わらず『量』的評価視点しかない。これでは、どんなに解明しようとしても本当のところは見えてこない。

◆その象徴的記事が、美術に関してである。「私語厳禁の美術の授業 達成感が子どもの自信に」というトボケタとしか言いようのない記事が真面目に扱われている。「美術に上手下手は関係」ないというトーンである。

◆質的評価を放棄してしまっている。たしかに、美術とはもともとセンスを評価するのではないだろう。だからそこは評価できない。しかし、センスを表現する技術は美術といえども論理的なのだ。そこは評価できるはずだ。ただ、その論理が再びセンスを豊かにする臨界点で、美学的方法論に転換するだけだ。そこから先は学校教育でどうしようもない。いわゆるセンスなのだから。その芽は摘まないほうがよい。どこの部分は評価できるかという話なのに、全面的に放棄する必要はあるまい。

◆『質的』評価は、主観だどうのこうのといわれるかもしれないが、この評価方法は実は20世紀に本格的に生まれてまだ確立されていない。その途上であまり文句を言わないことが肝心だ。

◆それにしても、「週刊東洋経済」の編集長は、慧眼の士としか言いようがない。さんざんそういう諦めにも近い特集の中で、たった3ページではあるが、私学の記事に紙片を割いている。割合にして6.7%。これは全国の中学に対する私学の割合にほぼ等しい。なんという緻密な計算。

★そしてさりげなく「理想の授業は私立でなのか」と小見出しを挿入。公立学校は量の競争というラットレースで、私立学校は質の競争という超越領域における公平性の貫徹。意外と真実を見抜いている編集者は多いかもしれない。(本間 勇人)

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私立学校が継承するもの~麻布の氷上校長語る

◆1月20日(土)、早稲田地区のとある会館で、セミナーがあった。麻布学園の校長氷上信廣先生が、「江原素六に学ぶ~教育が直面している問題に向き合って~」というテーマで講演された。

◆教育基本法改正がもたらす教育問題の拡大への懸念と私学の建学者江原素六の精神を継承することがこの改正の負の部分を阻止することにつながるという信念と壮大な歴史的スペクタルを一時間半語られた。

◆講演の全貌はまた別の機会にまとめてみたいが、大事なことは、戦後の教育基本法は、私学の知恵を結集して作られたという事実である。そして、ここでいう私学の知恵とは第一世代の知恵のことであり、戦後の教育基本法は、その知恵を継承する第三世代に受け継がれたと氷上先生は仮説を立てている。

◆第一世代とは、福沢諭吉、江原素六、新島襄である。そのあとやや遅れて高橋是清が誕生し、彼らの精神を継承する第二世代として、内村鑑三、新渡戸稲造、石川角次郎が続く。そしてさらにそれらを継承するのが田中耕太郎、天野天佑、河井道、務台理作、矢内原忠雄、南原繁・・・などである。第三世代こそ直接間接、戦後の教育基本法を作った先達である。

◆ところがこの教育基本法が改正となった。これは実に危ういというのである。氷上先生によると、この改正の動きは、今始まったわけではなく、教育基本法が施行されるや、すぐに改正の動きが始まりずっと続いていたのである。

◆要するに、私学の知恵の継承と並行して、対峙側の知恵も継承されていたのである。では、対峙側の第一世代は誰なのか。それは加藤弘之である。東大初代総理に就任し、ダーヴィニズムを思想的背景とし、「優勝劣敗」なるキーワードで、富国強兵の理論を構築した。これによって、キリスト教学校や私学は相当国家から圧力をかけられることになる。

◆加藤弘之は福沢諭吉よりも1歳若く、福沢が没した後15年生きている。官学と私学の知恵のぶつかり合いは、江戸幕府から明治維新に大転換する時期に既に生まれていたのである。

◆この時に生まれた私学側の知恵を、南原繁(南原先生自身内村鑑三の弟子。丸山真男は南原繁の弟子。)の孫である氷上校長先生は、第5世代として継承されているのである。そしてそれを麻布の生徒たちはまた継承していく。その継承する方法が、麻布のカリキュラムである。これはいずれまた。(本間 勇人)

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2007年1月26日 (金)

2006世界バレー開幕!

バレーボールでも私立中高一貫校が活躍中

世界のナンバーワンをめざして競い合うスポーツの大会は、どの種目も白熱したものになり、観る人々の心を熱くする。

今年は3月に野球のWBC第1回大会で「王ジャパン」が優勝を果たし、6月にはドイツでサッカーのワールドカップが行われた。残念ながら日本代表は予選リーグ突破を果たせなかったが、4年に一度、まさに世界中が熱狂するサッカーの祭典は、さまざまな話題でファンを楽しませてくれた。

国内では、10月31日から、やはり4年に一度の世界一決定戦「2006世界バレー(バレーボール世界選手権大会)」が日本で開催される。かつて1964年の東京オリンピックから、1972年のミュンヘンオリンピックにかけては、日本代表チームが男女とも3大会連続でバレーボールでメダルを獲得し、世界の強豪として名をはせた。しかし、その後、長い低迷が続き、マイナースポーツになってしまった感もあるバレーボールだが、今回はかなり早い時期から、TBSがテレビで応援キャンペーンを続けてきたこともあり、「世界バレー」の開催を知っている方も多いのではないだろうか。

実はこのバレーボール、私立の中高一貫校のなかには、日本のトップレベルでしのぎを削る学校が多いことをご存じだろうか。とくに高校の女子バレーでは、東京都内に強豪校が多い。

数年前に中学募集を停止してしまったが、東京の下北沢成徳(旧・成徳学園)高校は、今回の日本代表女子チームにも、落合真理、大山加奈、荒木絵里香、木村沙織の4選手を送りこんでいるほどの強豪校。八王子実践は、もう30年以上にわたって、日本の高校女子バレーをリードしてきた名門校だ。そして最近は、文京学院大学女子共栄学園、実践学園などが全国トップレベルで活躍を見せている。

中学ではこの夏、文京学院大学女子が関東大会に続き、全国大会をみごと制覇。駿台学園も全国3位まで勝ち進んだ。八王子実践も全国大会に出場。そして、これらの私学は中高一貫校ならではの指導体制のもと、今度は高校で日本一を狙う。神奈川からは横浜山手女子が全国大会に出場。ベスト8まで進出したことも特筆できる。

中学では男子の私学も負けてはいない。この夏は駿台学園が全国大会で3位まで勝ち進んだ。また、今年は全国大会進出はならなかったものの、サレジオ(小平市)は昨年の全国大会で優勝しているし、その前は2年連続で安田学園が全国大会を制覇している。

最近、駿台学園の先生に「クラブでがんばっている生徒が増えると、ほかの生徒にもいい刺激や影響を与えてくれます。努力する姿勢はふだんから皆が見ています。学校全体にも活気が出てきました」という話を聞いた。

そんなことも思いだしながら、「世界バレー」での日本代表チームの奮闘を応援したいと思う。

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駒込駅から徒歩3分の文京学院大学女子中学校。同校のホームページにはバレー部の活躍も紹介されている。


[初出:NettyLandかわら版11月号]
(北 一成)

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次に注目される小野学園女子の教育

★まだ多くの学校選択者に気づかれていない私立中高一貫校で、次に注目されるのは「小野学園女子」。なぜなら、独自の高度で広い視野を身につけるプログラムを創意工夫しているからである。創造的な教師の存在が、クリエイティブ・スクールの最終的な条件である。

★たとえば、15大学16分野の大学教授を招き、4~5年生(高1・高2)が大学教授による模擬授業を受けるプログラムを作っている。「企業の人材育成」「心理学って何するの!」「生物にとってDNAはなぜ重要なのか」など、大学生と同じ講義を受けることになる。実際、このような知的刺激のある環境は、生徒のモチベーションをアップし、「偏差値が20以上アップする生徒」をたくさん生み出しているという。

★また、小野学園は幼稚園から高等学校までの総合学園で、中高生は園児や児童とともに生活するチャンスが多い。ボランティア活動や梅祭(学園全体の文化祭)の運営などで、コラボレーションすることになるのだろう。優しい心根が育成されるのである。

★この2つの例を見ただけで、Talent、Technology、Tolerance(寛容)というクリエイティブスクールの条件3Tを満たしているというのがわかる。

★新年を迎えるにあたり、茶道部では初釜を行ったそうである。日本文化の「道」の精神は、「もてなし」の心も育てるが、これもまたToleranceに通じる。3Tとは時代の要請であり、それに応える創意工夫が小野学園女子では行われているのであり、注目を浴びるようになるのは時間の問題である。(本間 勇人)

※参照→小野学園から届いた「かわいいおもてなし」

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2007年1月24日 (水)

女子聖学院の行事の創造性

★今年の「女子聖学院」の中学入試の出願状況は好調。生徒募集が上手くいく理由は、大学進学実績という結果の向上とか、生徒の成長を促す自己実現プログラムの充実とか、学校説明会での表現力が豊かであるとか、論文指導が徹底されているとか多くのポイントがある。

★しかしながら、それらを企画・運営しているのは、結局のところ教師である。したがって、いかに教師陣が創造的な力とその実現力を有しているか、またそのためにコラボレーションできるかが要である。

★その点女子聖学院は、創造的なコミュニケーション能力を有している教師の層が厚く、そのチームワークの質は高い。

★まず学校行事と教科学習のリンクの学習環境設計は見事である。国語と国語科鑑賞、社会と社会科見学旅行や裁判所見学、理科と理科見学旅行、英語とアメリカホームステイ、聖書と平和教育や礼拝、数学とパソコン教室や軽井沢教室など、≪体験と議論と論理と表現と振り返り≫という学びの回路が各教科の中で展開している。

★そして当然ながら各教科どうしが体験の中でそれぞれの学びの回路をリンクさせる。京都や奈良に見学旅行にでかければ、当然司馬遼太郎流儀のストーリーがリンクするし、万葉集などもリンクする。理科見学旅行では、地学、物理、生物、化学に対応する環境に出かけるが、当然そこでは地理学の素養が必要になってくるし、環境問題的視野も広がっていく。食料問題や経済問題にもつながっていく。

★これらの旅行は、日本の文化を深く知ることになり、海外研修のベースにもなる。このような教科を超えたつながりを意識してプログラムを作っている教師の営みを創造的と言わずして何と言うのだろうか。

★そして大事なことは、このように、ぶどうの樹のようにつながっているプログラムが、生徒たちの進路決定のきっかけになっているということである。教育の質とは、このような複雑なつながりを創っていく教師の質がそのまま反映している。だから受験生が集まるのではないだろうか。(本間 勇人)

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聖園女学院と東京純心の感受性

文章を読んだり、他者の話を聴いたりしたとき、自分なりの考え方や感じ方を持つには、
豊かな感受性が必要。気づきや発見は、そこから生まれる。

聖園女学院の中2で、哲学者の池田晶子さんの文章や精神科医の香山リカさんの文章などを「複数」読んでから、「自分とは何か」について考え、書く授業があったようだ。

同じテーマで作者が違う文章を読むということは、視点のズレに気づくということを意味するだろう。考え方や価値観の違いに気づき、どのようにそれらを受け入れるのか。

思春期に遭遇している同学院の生徒たちは、繊細な感性や豊かな感受性で、それらを受けとめている新しい自分を見出すことになる。

聖園女学院中2 N・Nさん

「自分とは誰か」について、私はもしかしたら心の中の心のことではないかと思う。ただの心の中ではなく、そのさらに奥にある心だ。普段生活していると、人間関係やいろいろなことがあって、周りに気を遣ったり、自分を周りに合わせようとしたり、無理をしてみたり……。本当の自分である時間は、実はとても少ないのではないかと思う。だから、本当の自分でも普段は気が付かないような、心の中の心だと考えた。

私は「自分とは誰か」について、「心の中の心」と答えたが、実際、「自分は誰か」についての根拠のあるような納得できる答えは分からない。しかし、「分からない」ことは答えではなく「問い」であると言われて、また困ってしまうのだ。だから、この「分からない」をこのままにしておかずに、どこまでも考えていこうと思う。

東京純心の毎日は、シスターや先生方のお話がある朝礼から始まる。そして、生徒たちは5分間ほど集中して聴き、自分の気づいたことを書く。

この「聴く→集中→気づく→書く→先生のコメント」という循環は終礼のときも、総合学習のときも多様な行事のときもほぼ同じ。

毎日のこの丁寧なサイクルが6年間連続していく。どれほど知と心が統合的に発達するのかは、火を見るより明らかである。

東京純心中2 N・Kさん

(4月24日)
今日から、聖歌が、校歌から「ガリラヤの風かおる丘で」に変わりました。「シャローム」とは、神様の平和がありますようにという意味です。聖書は、神様からの手紙であり、まなざしでもあります。言葉とは、今日のお話を聞いて、とっても大切な事だと思いました。それと、言葉というものは、人の心をはげましたりできるので、すごいと思いました。

(5月30日)
先生が読んだ本の中からお話がありました。「雑用はたいしたことのないもの」と思っているかもしれないけれど、小さな私たちの価値観で、決めてしまっては、とても視野が狭くなってしまいます。今はまだ、大事なのか、そうでないのかよく分からないのだから、積極的に色々な仕事に取り組んでいきたいと思います。

[初出:NettyLandかわら版11月号]
(本間勇人)

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2007年1月23日 (火)

ファイナル学校選択

★1月から中学入試が始まっている。灘中はすでに合格発表を終えている。国府台女子学院も第1回入学試験が終了している。869名の応募は、昨年より増加している。

★一方東京エリアの私立中高一貫校の出願は20日に始まったばかり、今月末にならなければ動向の全貌は見えない。

★倍率速報を見えても、窓口で手続きをする方法と郵送手続きをしているものが混在しているので、実際のところはまだまだわからない部分があるからだ。

★また、田園調布学園のように、初日の昨年同日出願の対比が好調(昨年213名→今年223名)でも、倍率速報の昨年の数字は最終数字だから、それがわからないので、今現在で比較してもあまり意味がない。

★そうは言っても、刻一刻と昨年の数字に近づいている、あるいはすでに超えているという勢いは、毎日眺めていると感じとることができよう。

★さて、現在あともう一校の学校選択で迷っているという方もいらっしゃるだろう。そういう場合、今年は応募者の増え方が急ではないが、着実に教育の質は向上し、先生方の創意工夫も積極的であるという6年後に有望な学校を選択するという意思決定のあり方も考えてみてはいかがだろうか。

★どうやって調べるのか?それは言うまでもなく、当サイト「ネッティリポート」が大いに役立つと確信している。(本間 勇人)

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2007年1月22日 (月)

一段と活気づく名古屋エリアの中学入試

受験生の期待と熱意が志望状況に反映

名古屋エリアの中学入試がさらに活気づいている。

下の表で紹介したのは、10月8日の全国中学入試センター模試における、名古屋エリアの私学への志望者数だ。

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まず男子では、359名の志望者があった名古屋中は119年の歴史を持つプロテスタント系の男子進学校。現在、2009年完成予定の新校舎を建築中だ。316名の志望者の滝中は、実業家・滝信四郎の設立した堅実派の共学校。314名の志望者の愛知中は、創立から130年の歴史を持つ仏教(曹洞宗)系の私学で、2004年に男子校から共学校化。

愛知の男子校の最難関でもある東海中の志望者は264名。創立118年の歴史を持つ仏教(浄土宗)系の私学である。南山男子部の志望者は165名。カトリック系の男子校で、創立75周年を迎え、愛知の私学教育の多くを支える南山学園の系列の男子校だ。

そして、今春に新設開校した海陽中等教育学校の志望者は、この段階で15名。民間企業設立の全寮制の男子エリート校として鳴り物入りで開校した同校だが、まだ決してこの名古屋エリアからの志望者は多くない。

女子の志望者数トップは346名の愛知淑徳中。ちょうど創立100周年を迎えた県下最古の私立高等女学校の伝統を持つ私学だが、この2006年に新校舎が完成。完全中高一貫教育をスタートさせ、「新しい学び」に取り組む。金城学院中は志望者323名で、愛知淑徳に次ぐ人気。創立から117年を迎えた東海地区最古の女子ミッション校で、大学系列だが幅広い進路に向かう自由な雰囲気の女子校だ。

南山女子部の志望者は301名。相変わらず人気が高く、愛知の私学では最難関レベルに位置している。共学の愛知中の女子志望者は274名。男子同様に高い人気を集めている。同じく共学の滝中の女子志望者は243名。南山女子部、東海に次ぐ難度で、幅広い人気を集めている。椙山女学園の志望者は100名。創立101年を迎えた幼稚園から大学院までの総合学園で、県内では幅広く親しまれている私学だ。そして南山学園系列の聖霊中の志望者は71名となっている。

こうして見ると、名古屋(愛知)エリアには、さまざまなタイプの私学があり、その多くが、確かな歴史の歩みのうえに、ちょうどこの時期、さらなる改革で発展を期している。表にはないが、2003年から中高一貫教育をスタートさせた名古屋国際中(共学校)などもその典型だろう。このほかにも、全国でもユニークな帰国子女受け入れ校である南山国際中も、この名古屋(愛知)エリアにある。

その名古屋エリアの私学が、いままさに活気づいており、そこに多くの期待が集まっていることは、こうした志望状況からもはっきりとわかる。今後の発展と成長を楽しみにしたい。

[初出:NettyLandかわら版1月号]
(北 一成)

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2007年1月21日 (日)

中村中は応募者が増える学校の1つの型

★昨日(1月20日)東京エリアの私立中学の出願が始まった。開始直前に中村中の梅沢先生から生徒1人ひとりを丁寧にもてなしたいという意気込みのメールを頂いたので、このブログで紹介(「中村中の最終学校説明会」)させてもらった。

★そして成功を祈っていたところ、夕刻、再び梅沢先生から初日の出願集計のお知らせをいただいた。応募者が増える私学の特徴をあらわしている典型例が理解でき、今後の学校選択に役立つので、その一部を紹介しよう。

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2/1 一般   75
    特待  142
2/2 一般  147
    特待  164
2/3 一般  201

初日から223名の方が出願という経験は今までありませんでした。 お一人お一人に「湯島天神の合格祈願えんぴつ」を差し上げて、 寒い中出願に来てくださった方々が少しでもホットになっていただけたらと願いました。堅い表情でいらした方も「湯島天神の合格祈願えんぴつです。一本お嬢様にお持ち帰りください」と声をかけると、和やかなお顔になってくださいました。

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★このような生徒と保護者に対するおもてなしの心と行いは、出願のときだけのことではなく、年間を通して生徒募集活動の際に行われてきた。このもてなしの持続が可能なのは、相手に対する目配りと高感度な共感性を備えていないとできない。もちろんこれは他者を愛する心につながる。このことは何を意味しているのかというと、中村中の教育精神が教職員1人ひとりに長い間染み渡ってきたことを意味する。(つまりこれから時代が要請すると言われている「ハイコンセプト」と「ハイタッチ」の実現!)

★中村中の教育精神は、フェニックス。しかしこのフェニックスの本当の意味はキリスト教の「復活」に通じるのである。これは麻布と同じような教育精神の表現の構造を持っている。麻布の氷上校長先生は、建学者江原素六の論語とキリスト教が染み付いた精神を宗教活動を通さずにいかに継承するかが、ミッション校でない麻布の背負った課題であると語られる。二兎を追わねばならない。優秀な生徒を育成する道と宗教性ベースの徳を身につけた生徒を育成する道の両方をと。

★中村中の深層に存在するカトリシズム。それは他者への奉仕である。これが「おもてなし」という表現で継承されている。そしてカトリック精神を望郷する表現が、「フェニックス」だったのではないか。ここは私の憶測にすぎないが、「復活」はキリスト教文化の重要なテーマ。もっと永劫回帰はアジアの宗教のテーマでもあるが。

★ともあれ、応募者が増える学校の典型例のポイントは、二兎を追うということであり、ミッションスクールでなくても、人間教育の背景に宗教的素養を有している学校ということではないだろうか。私はそのような学校を、「クリエイティブスクール」と呼んでいる。クリエイティブである3つの条件は、Talent, Technology, Tolerance。タレントとトレランス(寛容)がまさに宗教的素養であり、テクノロジーが近代を象徴する言葉。

★私学と官学の違いは、ここではっきりする。宗教的素養ある近代化路線なのか宗教的素養なき近代化路線なのかということ。グローバルな世界を生き抜くには、宗教的素養は重要なはずであるが・・・。中村中の生徒募集の成功の背景は、実はこのような込み入った文脈がある。このような文脈を自覚している学校かどうかが「クリエイティブスクール」であるか否かの試金石でもあろう。

※参照「中村学園を通して女子私立中高一貫校を考える(6)

※参照「私立中高一貫校がグローバル・スタンダードを内包している理由」    (本間 勇人)

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2007年1月20日 (土)

中村中の最終学校説明会

不死鳥のごとき中村中の出願が本日20日から始まっている。中村の教育力については、昨年の春の大人気をきっかけに、AERAや他紙・誌で広く取り上げられてきた。おそらく本日もその様相は変わらない、いやもっと拍車がかかっているのではないだろうか。

★出願直前開始の今朝、入学対策委員長の梅沢辰也先生から、「いよいよ本日から出願が始まりますが、お一人お一人と心の通い合う入試ができるように最高の状態でお迎えします。」とメールが届いた。

★中村の特徴である茶室的かつ日本庭園的なおもてなしの気持ちとクリエイティブ・スクールとしての気迫と気概が伝わってくる。

★最終学校説明会(1月13日)の参加者は、275組(約600名)で600席以上準備した体育館がほぼ満員だったと梅沢先生。これは過去最高というから、やはりブレイクした昨年をさらに超えるという予想は的中するのではないだろうか。

★梅沢先生によると、「この1年間の説明会などでコンタクトをとってくださった6年生は、1157名で、やはり昨年の 960名を超えます」ということである。埼玉や千葉の出願状況では、説明会の参加者が増えている学校はやはり出願数も増えている。

★今日の倍率速報を開いたとき、予想通りになっていることをお祈りしている。

※参照→フェニックス中村中     (本間 勇人)

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大学進学実績に結実する教育力

学校選択の指標として、大学進学実績は1つのポイントであるが、その実績の背景にある教育力も見逃すことはできない。

海城学園鷗友学園女子と言えば、優れた大学進学実績を出しているが、同時に進学指導以外にも幅広い教育実践をしていることで有名である。
授業方法は進歩的だし、教育空間も生徒たちに知的刺激を与える仕掛けがデザインされており、学内の雰囲気はクリエイティブそのもの。

このようにクリエイティブな雰囲気があるがゆえに進学実績が伸びているという私学に、八雲学園がある。
平成17年の卒業生のうち、いわゆるMARCH以上の大学に進学したのは23%。平成18年は33%。彼女たちが入学した当時のMARCH以上の実績は10%に満たなかったはず。この飛躍の背景には八雲学園の柔軟で強固な教育力がある。

法政大学キャリアデザイン学科に進学したMさんは、誰にでも笑顔で接する生徒だった。それだけに自分でも気づかないストレスを感じていたはずだが、チューター方式のおかげで、先生と常に対話する機会があった。
そしてクラブや行事などを通して、Mさんは多くの友人にサポートされた。そのおかげで、高校3年間ずっと総務委員(いわゆる学級委員)を務められ、文化祭本部委員長もやりとげることができたという。

横山先生は「八雲学園では、リーダーシップを発揮する機会はすべての生徒に開かれており、友人から支えられるリーダーが育ちます」と語る。八雲学園では自分勝手でいてはまずリーダーにはなれない。周りから受け入れられる人格でなければならないという。
Mさんは高2の時に「決勝を目の前にしておしるこの甘さの中に溶けこむ緊張」と詠んだ。6年間リーダーを果たしてきたMさんにとって、開放感と緊張感のモード切り替えは重要だった。高3の文化祭まで青春を謳歌し、その後進学準備に集中して見事合格。

慶応大学法学部に進学したTさんは、物静かな性格だが、茶道部の部長役を果たし、今では師範になっているほど道を極めている。
高3時の読書感想文の中で、泉鏡花の「異界」の世界が、不可知のものを排除してきた合理的近代人にある充実した感覚をもたらすということに気づいていたほど。この道という心的構えによって受験準備は支えられたとTさん自身自覚している。

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動と静のダイナミズムを生み出す八雲学園の教育力。大学進学実績が伸びるのもうなずける。

[初出:NettyLandかわら版11月号]
(本間勇人)

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2007年1月19日 (金)

聖園女学院の美術

★2007年1月16日(火)~21日(日)の期間、藤沢市民ギャラリー(藤沢駅北口 ルミネプラザ6F)で、「第20回藤沢市高等学校美術展」が開催されている。14校のうち私立中高一貫校は3校で、その中に聖園女学院が入っている。

聖園女学院の美術のシラバスは、よく練られていて、ある意味ハーバード大学のハワード・ガードナー教授のMultiple Intelligences(MI)理論を包含している。美術を通して、様々な知性や感性を育むことができる。

★様々な知性の中に世界の関係の中に自らを投じる自己を感じるものの見方が入っているが、まさに自己を多重のレイアーの中で見つける自己を見いだす感性を養うのが聖園女学院の美術ではないだろうか。

★その成果がこの美術展で展示されている。通り一遍に解釈された世界を自ら切り取る反解釈の写真の感性はおもしろい。パブリックアートの計画案という空間デザインは、かなりショッキングな世界の向こうからやってくるメッセージを捉えている作品が並んでいた。繊細だが大胆なものも。パッケージを自ら創り、それを自らプロデュースするポスターを作るという自己を自己がアウトプットする自己形成を美術の中で実践している。

★日本絵画の模写もすごい。今では日本絵画の手法は日常的ではないはず。だから模写を描く過程は試行錯誤の連続だったはずだ。東山魁夷の「ニュールンベルグの窓」は二重に難しい。日本画だが洋画でもあるその風景。しかも透明の窓ガラスを描くのはなんて難しいのだろう。網膜に映ったものをただ写すだけなのだが、それが難しい。「映す」から「写す」への変換の手作業と色の創出。想像しただけで気が遠くなる。

★その気が遠くなる作業に没頭している自己を再び思い出しながら自らの作品にコメントを添える自分はいったいいかなる存在なのだろう。作品はシンプルだがそこに至るまでの過程で無限の自己が出現している。それを1つひとつ確認する作業こそ聖園女学院の美術の深さだな。そんなことを思いながら作品を鑑賞していた。(本間 勇人)

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2007年1月18日 (木)

「志望者が増える」理由はどこに?

センター模試の志望状況から考える

6年生を対象にした「合格判定テスト」では毎回、各校の志望者が集計され、そのデータが翌年入試の難易度を予測する材料となる。

下の表は、今年9月度のセンター模試における志望状況を、昨年同月のデータと比較して、男女各入試日ごとに「志望者増加率」が高い順に、なおかつ平均偏差値が「0・2以上アップ」している学校(入試回)の上位ベスト3を抜粋して紹介したものだ。

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入試全体からすると、ほんの一部の例を見ているに過ぎないのかもしれないが、ここに抜粋された学校のほとんどには、それぞれ「志望者が増えた理由」を推測することができる。

それは、その学校の入試改革によるものや、新設したコースや特別クラスへの期待、新校舎人気、あるいは人気が競合する他校との関係で志望者が増える構造的なものであったりと、理由は多岐にわたる。大学進学実績の向上などは、最も人気増加に反映しやすい。また、ひとつの学校に複数の人気増加要因が重なっていることも当然ある。

いずれにしても、こうして「志望者が増え」、「平均偏差値もアップ」している学校には、何らかの「受験生にとって喜ばしい」要因があり、それが保護者に認知されたことが人気増加の理由であることは間違いない。また、こうした各学校の人気のベクトルは、その学校と在籍する生徒の将来の成長とも重なることがある。

そんな視点で、こういったデータをていねいに見直してみると、お子さんの受験校選びの参考になると思う。

[初出:NettyLandかわら版11月号]
(北 一成)

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慶應中等部の教育空間の意味

★学校選択において教育空間の意味については、まだまだ十分に認知されていない。新校舎はきれいだから、最初は目をひくが、そのうち学校の魅力を表現しなくなるぐらいに考えられているのではないだろうか。

★ところが、教育空間は、建学の精神が浸透するように巧まれているし、生徒の身体に影響するのは言うまでもなく、精神にも影響するように設計されているものだ。そして見逃してはならないのは、社会性や学びの姿勢にも大いに影響する。

★残念ながらその点に関して、きちんと認識され、それが表現されているという情報編集が、学校側からもほとんどなされていない。

★さすがに駒場東邦や開成、晃華学園にはそういう意識をはっきりお持ちになっている先生方がいる。学校選択者は必ずしもこれらの学校の説明会にいかないので、そのような視点がなかなか養われない。

★おそらく教育空間の意味について、学校説明会できちんと認識させられるのは受験生のうち10%の選択者に過ぎないだろう。

★何とかこの点に関して理解を広められるケースはないかと思いながら、「三田評論2007年1月号」を眺めていたところ、慶應中等部の大澤輝嘉先生の「慶應義塾と谷口吉郎」という論文が目に入ってきた。

★そうだ、谷口吉郎といえば、慶應幼稚舎から慶応大学まで建築設計にかかわった建築家だった。慶応大学のケースだと、私立中学の選択者ならみな興味と関心を持つだろう。

★福沢諭吉は多くの人々と対話と議論をする空間を重要だと考えていたという。その精神をイサム・ノグチと谷口吉郎が空間として再現したのが、あの「萬來舎」。そういう意味では谷口吉郎は福沢諭吉の精神をいかに空間の中に埋め込むか考えつづけていたに違いない。

★慶応大学の建築物は、萬來舎さえそうであるが、外観は何の変哲もない箱型である。しかし、それは、大澤先生によると、谷口吉郎の建築美に対するビジョンでもある。「外観などは問題外視」でよく、「内部の要求を如何に満足せしめるか、この点が即ち外観を形成する要素となって、つまり、外観は内部における要求そのままの現われに過ぎない」のだそうである。

★実用性優先というのは福沢諭吉の精神そのものではないか。このような視点で慶應中等部や慶応大学を訪れてみると、教育空間を見て、その学校のビジョンや教育の質が見えてくるかもしれない。

★ちなみに、谷口吉郎の息子はあの谷口吉生。ニューヨーク近代美術館(MoMA)の新館のデザイン、土門拳記念館、東京国立博物館法隆寺宝物館の設計は谷口吉生による。慶應の土壌が国際舞台で活躍する設計者を生んでいる。しかもその精神は福沢諭吉の背景にある日本の原風景でもある。慶應の教育空間は、歴史と伝統と精神とそして未来を伝えている。(本間 勇人)

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共立女子の帰国生入試人気上昇

「共立女子」の帰国生入試の結果がでた。今年の志願者は70名で前年対比129.6%。合格者は47名で、手続き者は42名(前年対比107.7%)。

★全員進学するかどうかはわからないが、在校生の中で10%は帰国生。来年はさらに伸びるとすると、来年か再来年かには13%を超える可能性もある。

★この13%というのは、ある集団に対し影響を与える数だと言われている。共立女子のさらなる変化が、帰国生入試の導入によってもたらされる可能性が見えてきた。

★日本文化とグローバリゼーション。もともと鹿島建設や戦後の日本の政治にも大きな影響を与えた<EUの父リヒャルト・クーディンホーフ・カレルギー>の友愛革命コンセプトを継承している共立女子ならではの動きではある。

★リヒャルト・クーデンホーフ・カレルギーの父はハインリッヒ・クーデンホーフ・カレルギーで母は日本人の光子である。日本の文化とヨーロッパの文化を絆を大事にしていた。共立女子の校訓「誠実・勤勉・友愛」にEUの根源的思想と通じる精神が込められているのかもしれない。

※参照→共立女子の歴史性     (本間 勇人)

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麹町学園女子の人気

◆1月13日の「麹町学園女子」学校説明会に500人の参加者が集まった。これについては<ホンマノオト2007年1月16日>で報告したが、1つ大事なことをお知らせするのを忘れていた。

◆同学園のサイトでしか公表されていないが、受験生の保護者からの要請もあって、1月19日に「ミニ説明会」を開催することになったそうだ。

◆最後の最後まで学校選択に対し集中している方は参加してみてはいかがだろうか。生徒の小さな変化を見守り、サポートする高感度なセンサーを有している教師を見つけに。(本間 勇人)

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知られざる静岡聖光学院の教育の質

◆中学受験のフィールドで「静岡聖光学院」の教育の質は、まだまだ知られていない。リベラルアーツをベースに、生徒1人ひとり<の/が>キャリアデザインを組み立てていく土台ができているということが理解されていないような気がする。

◆このリベラルアーツは、言うまでもなく結果的に大学進学実績にも結びついている。しかし、この成果が必ずしも正当に評価されているわけではない。それはスモールサイズの学校である宿命なのかもしれないが、量ではなく率で見ていくと、驚くべき事実が浮かび上がってくる。というのも、卒業生数に対する東大・早・慶・上智の現役合格率は、高輪、森村、香蘭、三輪田と変わらないのである。首都圏の私立中高一貫校の中では、上位から数えて3分の1のゾーンにはいっている。

◆ということは偏差値的には45~50のレンジの学校の中に入っているはずである。しかも教育の質でいけば、寮制学校の良さが加わるために、そのクオリティはそのレンジの学校を超えている可能性もある。

◆ところが現状では偏差値は40ぐらいである。これは評価が正当ではないからではなく、模擬試験を受けた生徒の集団から算出されたものに過ぎないから、結果的にそうなっているのである。静岡聖光学院の受験生全員が首都圏の中学受験界と同じように勉強をして、模擬試験を受けたなら、おそらく偏差値50ぐらいになるだろう。

◆要するに、条件が違うということを考慮しなければならない。静岡聖光学院のリベラルアーツとしての学びの秘密については、また別の機会にまとめようと思っているが、とにかく気になる保護者の方々は、一度訪れた方がよい。寮生は在校生の3分の1。神奈川、東京からでも進学できるのである。2月10日、東京で受験ができる。学校選択の視野に入れてみてはいかがだろうか。(本間 勇人)

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2007年1月15日 (月)

横浜国際女学院翠陵中学校の最終学校説明会

★1月13日、横浜国際女学院翠陵中学校最終学校説明会が開催された。神奈川の私立中学の出願手続きはすでに始まっている。同校もすでに始まっているが、今回の説明会に参加したおよそ50組からも、当日手続きをした受験生の家族も多かったのではないだろうか。

★同校の国際教育は通り一遍の英語教育ではない。OGの中には、こういう卒業生もいる。米国で英語を使って仕事をしているうちに、グローバリゼーションの世界にあって、国境は地理的な境界線ではなく、言語が理解できるかどうかが境界線を広めも縮めもしていることに気づいたという。それゆえ英語だけではなく中国語も学ばなければ、グローバルな人間関係を作れないし、孤立してしまうと考えているという。

★日本の社会は、いつのまにか文明の孤立という事態を招きかねない。そんな話が最終学校説明会で話されたようだ。21世紀の女性、つまり今の中学受験生が本当に取り組まねばならない仕事や生き方について熱く語られたに違いない。参加した友人の話では、かなり意識の高いご家庭が参加していたということだ。

★説明会が終わった時点で、出願者が全部で65名増えた。やはりプレゼンテーションの効果があったということだろう。80名定員のところ、全応募者は267名で3.3倍。自分の娘が受ける学校の人気があるということは良いことである。その中で切磋琢磨できるようにまずは受験をがんばっていただきたい。(本間 勇人)

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目配りから生まれる私学の防災教育

国や各自治体で「防災マニュアル」の整備が進んでいるが、きめ細かい教育実践の充実までには到っていない。今後は私学独自の先進的な防災教育もモデルになるだろう。

1995年の阪神・淡路大震災後、兵庫県は、すぐに「兵庫の教育の復興に向けて」という提言を作成した。それ以来、兵庫県はもちろんのこと、各自治体でも防災マニュアルの検討や防災教育に全力を尽くしている。

しかし、その後、新潟県中越地震や福岡県西方沖地震、各地の台風による災害など予想を越える自然の猛威はすさまじく、その度に、国や各自治体は防災対策強化を講じている。

企業や市民も防災に対し関心が高く、帰宅困難な人を救う避難所を提供するなど協力体制が形作られつつある。

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図をクリックすると大きく表示されます。

しかし、ふだん多くの子どもたちは学校にいて、家族から離れた場所におり、学校の危機管理が最重要課題。

それゆえ、文部科学省や各自治体の作成する「防災マニュアル」には、学校による防災教育の項目が必須なのである。この手のマニュアルはかなり細かくできている。

たとえば、災害後、どのように生徒たちが帰宅するのか日頃から保護者と確認し、訓練までするように指摘しているほど。しかし、実際に災害が発生した場合、どの段階で生徒たちを帰宅させるのか、その判断は校長に委ねられている。

したがって、東京都教育委員会では、1995年にまとめた「学校防災マニュアル」を今年さらに見直そうとしている。が、災害はいつ起こるかわからない。転ばぬ先の杖はないものか。

その1つのモデルとして優れている体制をとっているのは笹塚にある富士見丘中学校である。同校の防災教育の卓越性は、避難訓練のような特別なイベントを指すのではない。ふだんからハード面とソフト面の教育を怠らないという意味で優れているのである。

同校の校舎はあらゆる面でエコロジカルな仕掛けが施されており、特に水についての発想は興味深い。雨水を地下貯留ピットに貯め浄化し、中水としてトイレの洗浄や植栽の散水に利用できるシステムが設置されているが、上水の確保だけではなく、この中水の確保が、災害時に大いに役に立つ。

電気も大型自家発電装置が設置されていて、上水、中水ばかりではなく、電気というライフラインも確保されている。生徒教職員が残留隔離されても、3日間は学校で安心して生活が可能。

このように生徒に何が必要かというきめ細かいハード面に対する配慮は、富士見丘の先生方の生徒を思いやる目配りから生まれている。

先生方は、生徒の小さな変化を見逃さず、電話や面談で常に情報共有をしている。生徒が何を感じ何を考えることが大切なのかは、普段から親密に接しているからこそわかるのである。

[初出:NettyLandかわら版10月号]
(本間勇人)

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2007年1月14日 (日)

脳科学が自由学園の新しさを見いだす

◆1月11日、自由学園女子で興味深い講演会が催された。脳研究者の一人者である小泉英明さんによる講演であった。小泉さんはローマ法王庁科学アカデミーで講演もされているほど。

◆女子部の在校生(一部他のイベントで参加できなかった)全員と、教職員が、小泉さんの講演に耳を傾けた。テーマは「脳科学と教育」で、脳科学を通してみると、いろいろな常識が崩れていくのだが、小泉さんは自由学園が農園を教師と生徒がいっしょに育てていることや料理を自分たちで創っている教育を、脳の進化/真価にたいへん意味があることだと評価もした。

◆遺伝子や前頭前野は、外部の刺激を受けて初めて成長する。しかも働きによっては幼い頃の一定の時期=臨界期までに刺激を与えていないと、働かなくなる場合がある。豊かな実体験は重要であることを強調。たとえば、猫が臨界期を過ぎるまで、縦縞の空間だけで生活していると、横縞を認識できなくなるという話はインパクトがあった。おそらく人間もそうだろうと。もちろん実験ができないから仮説ではあるが。

◆しかし、ここで終わっては人間の脳は進化しない。外部から情報をインプットしてアウトプットするまでにアルゴリズムが働く。つまり試行錯誤で中枢神経がガチャガチャやるわけだ。その一見非合理的なプロセスとアウトプットの後のフィードバックの循環が、目に見えない兆という単位をはるかに超えたニューロンを水面下で発達させるのだと。

◆この何兆というニューロンの働きは、いわばフロイトが発見したエスとかイド。つまり意識下。実体験とアルゴリズムとフィードバックの循環からあるとき「なるほど」という発見がここから生まれる。天才のひらめきというやつ。あるいは芸術家のセンス。

◆女子部の生徒の中にはこのメカニズムに興味を持った生徒もいた。なるほど鋭い。ピカソの後期の絵は、インプットやアウトプットの段階のものではなく、おそらくアルゴリズムで一回解体されて、要素分解されているシーンなのではないかと脳科学でも注目されているという。なぜなら、モデルを知らない人が見たら、通常の人間の形には見えないが、モデルが誰か知っている人が見ると、まさにモデルそのものだと実感するからだという。

◆小泉さんはfMRIや近赤外分光トポグラフィを最初に使って脳科学の論文を発表している。OECD/PISAでも脳科学を導入しており、そのプロジェクトの中心人物は小泉さん。

◆教育の分野にこの技術と脳科学を入れることで、教育にも科学が導入できる。さてこの科学を導入したら、何が正しい教育なのか、教育の質の分析のゆくえなどに1つの解答がくだるだろう。自由学園の教育の質の良さが証明されるときでもある。自由学園の新たな教育戦略の宣言の日。それが今回の女子部挙げての講演会だったのではあるまいか。(本間 勇人)

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白梅学園清修の最終学校説明会

★1月13日、白梅学園清修の最終学校説明会が開催された。参加者は250人を超えたそうだ。昨年の倍以上の参加者数である。どうしてこんなに勢いが良いのか。

★それは各回の説明会で参加者に感動を生み出す夢を語り、それを1つひとつ実現して見せて来たところに理由があるのだと思う。

★最終学校説明会で在校生の父親が、受験生とその保護者に贈った励ましの言葉にもそれは象徴されていたのではないだろうか。聞くところによると、在校生のお父さんは昨年の入学式でも話されていて、そのときに「こんなにいろいろな体験と考える時間を用意している学校は他にない。計画が本当に実行されたなら、化けるのではないか」と喜びを表し同時にプレッシャーを学校側にきちんと表明されたという。

★その在校生のお父さんが、「夢をいっぱい計画している学校です。そして今のところ全部実行してくれています。安心して自分の娘を預けられる学校です。」というような学校の紹介をしたそうだ。これは保護者から学校に対する最高の評価に他ならない。

★そしてさらに受験生に「睡眠を十分とりましょうね。身体の健康のためということもありますが、脳の働きが低下しないようにね。」とぜひ白梅学園清修に入学してきてほしいという心に響く言葉を贈ったそうだ。そのお父さんの職業が職業だけに、会場では信頼の雰囲気もさっと広がったということである。

★涙の説明会となったのは、在校生のプレゼンテーション。在校生は入学早々、ディスカッションとプレゼンテーションの環境にあるから、原稿を用意して読み上げるということはしない。その場その場の雰囲気を察知して、語りかけていくスタイル。つまりハイタッチな感覚の在校生が多い。

★「私は何度も受験をあきらめようと思いました。迷っているときに、両親が私の目を見つめ、励ましてくれました。受験当日は父は仕事を休んで、いっしょに受験会場に来てくれたし、終わるまで待っていてくれました。受験をしてよかったと思っています。そして両親に感謝の気持ちでいっぱいです。」というようなことを受験生とその保護者に贈ったそうだ。受験生の親の心には直球だったに違いない。

★私は残念ながらこの説明会に参加していない。信頼すべき友人から興奮した電話がかかってきて、そこから知りうる範囲での情報で組み立てたにすぎない。参加していたら、もっと感動の物語を分けてもらえたかもしれないが、まだまだ受験本番とその直後の感動的な物語が待っている。楽しみである。(本間 勇人)

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最終学校説明会で出合う学校ブランド

◆年が改まり2007年になって、すでに入試が始まっている。そんな中で東京神奈川エリアでは、最終学校説明会が130件以上ギリギリまで開催されている。

◆この時期の説明会だから、第一志望の受験生とその保護者ばかりだろうと思うかもしれないが、いろいろ聞いてみるとどこも20%は初めて訪れるという保護者がいらっしゃるという。そして願書を申し込んでいく割合も高いというのである。

◆その理由には、1月になって新しい学校を回る保護者の気合というものがある。いろいろ迷った結果、どうしても選択しきれず、最後に回った学校にかけるという究極の選択を真剣に考えているのである。

◆そしてもう1つは、学校側の最高のもてなしの気持ちの高まりである。最終説明会をきちんととり行い、入試を迎えるという凛としたすがすがしい雰囲気作りがされている。1年間互いに協力してきた先生方と生徒、在校生の保護者の一体感が最高潮に達する時でもあるのである。この時期に説明会を開催する学校は、教職員、生徒、保護者が一丸となっている場合が多い。

◆そうなると、説明会をとり行いながら、走馬灯のように1年間みんなでやってきたことが1つひとつ実現していく姿を思い出していく。80%の受験生やその保護者は何回も足を運んでいる。教職員、在校生、在校生の保護者、受験生、その保護者のなんともいえない心地良い連帯の絆が生まれてもいる。その絆に、初めて訪れて触れた場合、そのインパクトは想像を絶するだろう。

◆これはその学校の本当の姿であり、ブランドのエッセンスである。潜在的な学校の教育力が顕在化する瞬間である。学校のおもてなしは、学校に訪れたとき、学校のサイトに訪れたとき、学校のポスターなどの広報媒体に出合ったときに表現されている。そしてそれはその学校のブランドのエッセンスである。その集積が最終学校説明会なのである。(本間 勇人)

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2007年1月13日 (土)

英語ができないとダメなの?

日本人学校出身の帰国生も受けやすい学校

上海の日本人学校の在籍生徒数が、いま非常に増えているという。10月14日(土)には、日能研も上海で「帰国子女説明会」を実施したばかりだ。

Hot0611_7_1英語圏に在住する小学生の家庭では、わが子を現地校に通わせることで英語力を育てながら、補習校で学習のフォローをするという選択もできるが、非英語圏ではそういう選択が難しい(選択肢がない)国や地域がある。

たとえば上海の日本人学校であれば、在学中に多少中国語を学ぶが、欧米の現地校で日常的に英語に触れるのとは意味が違う。学校外の塾や英会話スクールで英語を学ばせている家庭もあるようだが、それでも英語圏の国で過ごす小学生のように、英語を身近なものとして生活するわけではない。つまり外国語力を育てるには、ほとんど日本国内と変わらない環境にある。

しかし、やはり学齢期を海外で過ごした子どもたちには、日本国内で中学受験勉強をしてきた小学生に比べてハンディーがある。帰国後の学校選択が悩ましい問題となるのは当然だろう。

左の表は、首都圏の学校で、一般入試とは別枠(別日程・別定員・別入試形式)の「帰国生入試」のうち「英語なしで受験できる」学校を抜粋して紹介したものである。

特別な英語力を身につけていなくても、帰国生にとって受験しやすい学校が意外と多く見つかる。もちろん多くの場合、「国・算」が試験科目に含まれるので、基礎的な学力を身につけておくことが課題となる。ただ、なかには「作文のみ」とか「国語と作文」、「算数と作文」などで入試を行う学校があり、現在の「帰国生入試」形態はHot0611_7_2バリエーションに富んでいる。

よく探していくことで、その学校の「帰国生受け入れのコンセプト」や「入学後の指導姿勢や学習のフォロー」が、ご家庭の考えや期待とマッチし、安心して子どもを預けられる私学がきっと見つかることと思う。それには、まずインターネットなどで自ら情報を入手し「学校を知る」ことがポイントだ。

[初出:NettyLandかわら版11月号]
(北 一成)

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2007年1月11日 (木)

淑徳巣鴨が伸びているわけ

「淑徳巣鴨中」は大学進学実績も中学応募者数も伸びている。両者の実績は今年も記録を更新すると内外から予測されている。

◆その理由は、健筆を揮う校長中川武夫先生が就任以来、明快・簡潔で感銘を与えるビジョンと戦略を発信し、それを着実に実行しているところにあるというところまでは理解していたつもりであった。その点について、かつて何回か「ホンマノノオト」でも触れてきた。

 ※参照→「ホンマノオト2003年7月18日」「ホンマノオト2005年5月25日

◆しかし、今回進路指導委員会主任の橋本恭先生のお話をお聞きする機会があり、さらになるほどと合点がいった。というのも一般に、進路指導部の先生方は、広報的な発想を持たないというか、それは広報部の仕事としてあえて抑えるかどちらかであるが、橋本先生は、進路指導の活動の一環として、教務の内容やイベントなどの特別活動、広報活動をつなげていくプロデュース型の言動をとる方だったのだ。

◆進路指導をやっていくには、各教科の内容や教え方を知らねばならないという思いから、ご自分の教えている教科以外の先生方と情報を共有していくという。

◆「スポンサー講座」「BSC(ブライト・サタデー・クラブ:OB/OGの協力を得ている)」などの外部講師や外部スタッフを巻き込む多様なプログラムの仕掛け人でもある。

◆キャリア・デザイン・教育においては、職業や仕事の情報の前に、学部・学科という大学の研究をするチャンスも組み立て、大学進学の意義とモチベーションをアップする行動家でもある。

◆そして、進路指導の充実と成果のためには、入学してくる時点の受け入れ態勢が極めて重要であるという考えも持っている。生徒はみんな好奇心を持った人間であるという信念から、起きているときも眠っているときも寸暇を惜しまず、生徒のタレントを引き出し開花する環境も緻密に組み立てている。

◆中川校長先生が明快な論を展開するアグレッシブなリーダーであると同時に健筆を揮うほどの研究者でもあることも大きな理由であるが、淑徳巣鴨の教職員と生徒が学び合う組織として成長しているというのも伸びている見えない理由であり、その背景に組織の絆を縦横無尽に結びつけるパワフルな人材がいるということもまた大事な理由だったのである。(本間 勇人)

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2007年1月 9日 (火)

星城中学校~私立中高一貫校の星

◆2年前から「センター模試」は本格的に全国で実施するようになった。関東・関西・四国・九州には日能研があるので、すでに展開していたが、名古屋は一部実施であった。

◆しかし、名古屋は埼玉と同じくらい私立中高一貫受験生がいるので、本格的に実施展開をするようになった。そのおかげで、名古屋の私立中高一貫校の先生方のお話をお聞きする機会も増えた。

◆名古屋駅から電車で20分のところに、星城中という私立学校がある。理事長の名前が石田正城だから、まさに石田学園(学校法人名古屋石田学園だから当たり前ではあるが)。同学園の創設者は、石田鏇徳(せんとく)先生。今の理事長はそのご子息で、二代目。

◆二代目というのは、創立の精神を引き継ぐのが難しいというのが世の習いだとよく言われるが、それがまったく違うのである。むしろ引き継ぎさらに発展させている。不易流行のモデル校なのであった。

◆内観法、スポーツ、芸術、国際教育(中国とオーストラリア)、学力というあらゆる教育環境をバランスよく整えているのである。入学してくる生徒は知性と感性において偏差値50以上(模擬試験の偏差値とは若干違いがある。もちろん学力的には偏差値50以上)の生徒ばかり。したがって、中学の在籍数は88名と少人数。

◆しかし、これは欧米のプレップスクールやパブリックスクールでは当たり前の数。石田理事長の見識は広くて深い。海外の教育事情も詳細に知っているし、何といっても驚いたのは、東京の私立学校について、大変詳しいのである。

◆日本女子、中村のような器楽合奏、共立女子のような美術教育、世田谷学園や藤嶺藤沢のように「道」を追究するチャンスなどが、総合的に組み立てられている。そして成功しているのである。そうそう、あのソフトボールの馬淵智子選手も石田学園出身。

◆石田理事長に成功の秘訣は何かと聞いてみた。すると「建学の精神を、教職員と生徒に浸透させる努力。それ以外にないですね。」と即答された。

◆たしかに、学校説明会は、司会からプレゼン、運営まで有志生徒22名によって行われた。先生方は必要に応じて、司会の生徒に呼ばれ、プレゼンする。先生の特徴をつかんで紹介しながらの演出には驚いた。八雲学園の生徒によるイングリッシュ・パフォーマンスもインパクトがあるが、それに匹敵する衝撃が走った。

◆生徒たちも、自分たちの学校の説明をするが、それは慶應普通部が合同説明会のときに見せた生徒の紹介に似ていた。星城中のブレイン三根先生は、オーストラリアの研修に生徒といっしょにいくというので、たいへんですねと聞くと、「いやぁ、生徒が英語ができるから、僕は付いていくだけだよ」と微笑みながら語られた。

◆ものごとを斜めに見る習性がある私でも、素直に理想郷があったと感嘆せずにはいられなかった。(本間 勇人)

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2007年1月 8日 (月)

2007年「帰国子女入試」ラッシュが始まった

年が明け、いよいよ昨日7日から、茨城エリアの入試を皮切りに、2007年の首都圏中学入試がスタートした。

本日8日(月)には、土佐塾、西大和学園、函館ラ・サール、佐久長聖、那須高原海城、長崎日大など、地方の「寮のある私学」の東京(首都圏)会場入試が各地で行われた。

このあとにスタートする埼玉入試や千葉入試、そして2月1日からの東京・神奈川入試の前哨戦(=力試し)として、これらの入試に今日チャレンジしてきた受験生も多いことだろう。

そうした1月初旬、首都圏では、「もうひとつの中学入試」ともいえる、一般入試とは別枠の「帰国生入試」が本格的なシーズンを迎えた。すでにこうした「帰国生入試」は、早いところでは昨年11~12月から開始されているが、ピークを迎えるのはこの1月8日以降で、いわば「帰国生入試ラッシュ」をこれから迎える。

この2007年の「帰国子女入試」の入試要項や詳しい状況は、日能研が運営する「海外子女のための中学進学情報(=通称:NGSサイト)」のコンテンツのひとつ、「海外帰国子女入試要項〈入試カレンダー〉」をご覧いただくとよい。最新の帰国子女入試情報が、そこには紹介されている。

その「入試カレンダー」に紹介されているように、たとえば今日8日(月)には、聖学院中学校(東京都北区・男子校)の「帰国子女入試」が行われた。算数と英語、各50分・100点づつの入試と、受験生のみの面接で実施される同校の帰国子女入試には、果たして何名の受験生がチャレンジしただろうか。

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今日の帰国子女入試の結果は、やがて明らかになるので、NGSサイトで詳細をご覧いただきたい。ところで、こうした「帰国子女入試」を行う一方、この聖学院では、一般入試のスタート日である2月1日に、帰国子女でなくても「英語が得意な小学生」が受験できる、「英語選抜」入試を実施することをご存知だろうか。

この「英語選抜」の出願資格は、「英検3級以上」とされている。たとえ帰国子女のお子さんのように海外在住体験がなくても、「英語が好き」とか、「英語が得意」で、すでに「英検3級以上」を取得している受験生には、ぜひチャレンジしてほしい入試の機会だ。

とくに、男子進学校のなかでは出色の英語教育のノウハウを持つ聖学院だけに、この「英語選抜」入試に注目したいと思う。そうした長所を持つ子どもたちを受け入れ、まず「英語力を自信に」中学生活をスタートさせ、やがては他教科も含めて、バランスよく総合的な学力を高めてくれる期待が持てる。

そんな側面も合わせて、各私学の個性的な「入試のあり方」を見てみることで、中学入試に現れるそれぞれの私学教育の特徴や、合格へのチャンスが、もっとよく見えてくると思う。(北 一成)

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