教育再生会議が学ぶこと
教育再生会議が動き出した。17人の教育再生会議有識者の議論は百家争鳴。
問題解決には私学の教育をモデルにするしかない。
教育再生会議が、安倍首相の肝いりで内閣に設置され、今年10月18日に第1回会議が開催された。
ところが、その直後日本中を必修科目の履修漏れ問題が襲った。11月1日時点での文科省の集計によると履修不足が判明した学校は、全国で計540校(公立314校、私立226校)。
文科省は「平成18年度に高等学校の最終年次に在学する必履修科目未履修の生徒の卒業認定等について」という依命通知を出し、一応事態収拾。
東京私立中学高等学校協会会長近藤彰郎先生(八雲学園理事長・校長)は「履修不足問題がこれほど全国に広がるのはおかしい。現場で読み替えたり、アレンジしたりするのは当然のこと。今回の文科省や教育委員会の対応は、この創意工夫まで履修不足だと言っているようなもの。アレンジせずに決められた通りにやれと言っているに等しい。これでは全体主義だ。」
文科省の対応の仕方によっては、1人ひとりの子どもたちのニーズに合わせて創意工夫する成熟した教育を否定することになると指摘。
「今回の問題はある意味、結果的に重要な論点を明らかにした。公立学校においては、ゆとり教育と現場の教育の歪みが露呈したわけだ。履修していないのに履修していると報告する行為に問題はあるが、現場に屈折した対応策をとらせたのは文科省自身だろう。
私立学校は、もともと校長裁量で、学習指導要領をアレンジし、生徒たちの夢を実現する学びの環境を作ってきた。
今回そのアレンジの幅が問題になったようだが、実は何の問題もなかったのだということになるだろう。
今回対象になったのは、大学進学のために一生懸命勉強している生徒たち。一方、公立高校で、分数の計算ができない生徒がたくさんいる。画一的に微積を教えても習得できない。現場でアレンジしなければ履修を認定できない生徒がたくさんいる。」
生徒1人ひとりのニーズに適合した多種多様な教育は、現場の創意工夫から生まれる。私立学校間の競争は、この教育の質の切磋琢磨にある。
公立学校間の競争は大学合格実績という量の論理。この経済優先の競争原理の歪みが今回の問題につながった。
11月、東京私立中学高等学校協会の創立60周年記念式典と第54回全国私学教育研究集会東京大会を同時進行で開催した近藤会長は、「安倍内閣は、教育改革を主要な政策としている。そうであれば建学の精神を礎に、時代の要請に応えていく、全国の私立中学校高等学校の姿をご覧いただきたい」と高らかに謳った。
教育再生会議は量の競争ではなく、質の競争を私学から学ぶべきではないかということだろう。
教育再生会議有識者
浅利慶太:劇団四季代表・演出家
池田守男:株式会社資生堂相談役 ○
海老名香葉子:エッセイスト
小野元之:独立行政法人日本学術振興会理事長
陰山英男:立命館大学大学教育開発・支援センター教授
立命館小学校副校長
葛西敬之:東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長
門川大作:京都市教育委員会教育長
川勝平太:国際日本文化研究センター教授
小谷実可子:スポーツコメンテーター
小宮山 宏:東京大学総長
品川裕香:教育ジャーナリスト
白石真澄:東洋大学経済学部教授
張 富士夫:トヨタ自動車株式会社会長
中嶋嶺雄:国際教養大学理事長・学長
野依良治:独立行政法人理化学研究所理事長 ◎
義家弘介:横浜市教育委員会教育委員、東北福祉大学特任講師
渡邉美樹:ワタミ株式会社代表取締役社長・CEO
学校法人郁文館夢学園理事長
※◎座長 ○座長代理 ※首相官邸サイトから
[初出:NettyLandかわら版12月号]
(本間勇人)
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