私立学校が継承するもの~麻布の氷上校長語る
◆1月20日(土)、早稲田地区のとある会館で、セミナーがあった。麻布学園の校長氷上信廣先生が、「江原素六に学ぶ~教育が直面している問題に向き合って~」というテーマで講演された。
◆教育基本法改正がもたらす教育問題の拡大への懸念と私学の建学者江原素六の精神を継承することがこの改正の負の部分を阻止することにつながるという信念と壮大な歴史的スペクタルを一時間半語られた。
◆講演の全貌はまた別の機会にまとめてみたいが、大事なことは、戦後の教育基本法は、私学の知恵を結集して作られたという事実である。そして、ここでいう私学の知恵とは第一世代の知恵のことであり、戦後の教育基本法は、その知恵を継承する第三世代に受け継がれたと氷上先生は仮説を立てている。
◆第一世代とは、福沢諭吉、江原素六、新島襄である。そのあとやや遅れて高橋是清が誕生し、彼らの精神を継承する第二世代として、内村鑑三、新渡戸稲造、石川角次郎が続く。そしてさらにそれらを継承するのが田中耕太郎、天野天佑、河井道、務台理作、矢内原忠雄、南原繁・・・などである。第三世代こそ直接間接、戦後の教育基本法を作った先達である。
◆ところがこの教育基本法が改正となった。これは実に危ういというのである。氷上先生によると、この改正の動きは、今始まったわけではなく、教育基本法が施行されるや、すぐに改正の動きが始まりずっと続いていたのである。
◆要するに、私学の知恵の継承と並行して、対峙側の知恵も継承されていたのである。では、対峙側の第一世代は誰なのか。それは加藤弘之である。東大初代総理に就任し、ダーヴィニズムを思想的背景とし、「優勝劣敗」なるキーワードで、富国強兵の理論を構築した。これによって、キリスト教学校や私学は相当国家から圧力をかけられることになる。
◆加藤弘之は福沢諭吉よりも1歳若く、福沢が没した後15年生きている。官学と私学の知恵のぶつかり合いは、江戸幕府から明治維新に大転換する時期に既に生まれていたのである。
◆この時に生まれた私学側の知恵を、南原繁(南原先生自身内村鑑三の弟子。丸山真男は南原繁の弟子。)の孫である氷上校長先生は、第5世代として継承されているのである。そしてそれを麻布の生徒たちはまた継承していく。その継承する方法が、麻布のカリキュラムである。これはいずれまた。(本間 勇人)
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