海城の将来構想の考え方(3)
★海城の将来構想の考え方(2)のつづき。海城の将来構想検討委員会は、「新たなビジョン・具体的な教育プログラム 両者をどうつなぐか?」、この根本問題を解決するために、その端緒を「期待・満足度アンケート調査」に見いだしている。
★受験成績に対する期待・満足度はかなり高いが、校風・教育方針への期待・満足度が思いのほか低いという結果に、前者にたいしては、高2以降の受験教育の充実とその徹底、本格的なキャリア教育・進路指導の実施によって、生徒たちのニーズにより応えていくことを、さらりと提案している。満足をしているから、何もやらなくてよいという提案はさすがにできなかったのかもしれない。
★後者に関しては、テクニカル論とファンダメンタル論の両側面からかなり詳細に議論・検討した痕跡がある。もっとも答申は簡潔にまとまっているのだが、そのまとまりでは収まりきれない思想と経済、倫理の見識が溢れかえっている。
★しかし、最も重要な点は、テクニカル論とファンダメンタル論を結びつけているのは、ロゴス論であるというコトだ。教育理念や教育方針は、一般にはどうしてもスローガンになり、平板な響きとしてしか伝わってこない。海城に限らず、多くの学校で生徒たちが関心を抱いていないのはそういうことだろう。したがって、将来構想検討委員会は、言葉をロゴスとして、他者の心を動かすようなプログラムに変容させるために、テクニカル論とファンダメンタル論とロゴス論の三位一体戦略を使ったのではないか。
★この戦略について詳細に語るコトは私の力では無理なので、いずれ委員長の中田先生に聞いてみる必要があると思っている。
★とにかく感じることは、この戦略によって、海城の教育理念は、文言を換えることなく、概念を新たに創り出し、新しい自由と正義論を構築するチャンレンジをし、新しい言語構造を導入し、官僚的近代主義でも、ポストモダニズムでもない、新しい近代の人材の育成、社会観、世界観の輪郭を明確に捉えているというコトである。もしかしたら、海軍予備校として出発した海城の理念は、もともとそうだったのかもしれない。しかし、歴史的事実がそれを見えなくしてしまったのか・・・。
★不易流行という言葉で語ってしまえば、それまでであるが、時代の要請にしたがって、建学当時とはやはり違う価値観、概念、考え方、方法論を脱構築したのではないか。その脱構築の戦略は、ジョン・ロールズの「正義論」に求めることによって、ヨーロッパ中世の世界観にまでさかのぼりつつ、21世紀を見通していることになり、海城の教育理念を明治以降のものとする歴史事実から解放する革命的知識人の方法論をとっているところが実に興味深い。(本間 勇人)
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