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2007年4月19日 (木)

新潮流を生み出す日本音楽高等学校

★このところ時代はクリエイティブ・クラスという21世紀の新潮流の跡を追っているが、この流れが芸術をハビトゥス(文化資本の再生産の構造)として持っている学校から生まれていることに気づいた。昨年「のだめカンタービレ」が大トレンドになり、モーツァルト生誕250年でクラッシック音楽は大いに盛り上がった。

★洗足学園は、大学進学実績、独自の海外留学研修プログラムで一流の私立中高一貫校とイメージされがちだが、ドラマ版「のだめ」のロケに使われたために、音楽という芸術のミーム(文化遺伝子)も持っていることが再評価され、リベラルアーツの洗足学園という認識が生まれつつある。

★そのような流れもあって、芸術というか美学をベースにするリベラルアーツを可能にする学校を他にも探し、女子美大付属と国立音大附属という記事を本ブログで紹介した。

★美学をベースにするリベラルアーツをハビトゥスとして内包している学校。そういう観点を持ったということは、どういうことだろう。自分の中で生まれたという自分の見識だろうか。そうではない。時代の潮流がそういう本当の意味で成熟した教育を欲しているのだと思う。

★というのも、2005年に浦和実業の中学開設時の校長小山久夫先生が、今年4月日本音楽高等学校の校長に就任されたからだ。実業も音楽も、20世紀を牽引してきたモダニズム産業構造の日本社会にあっては、技術としての側面しか捉えられないできた。ところがやっと教育にもポストモダニズムの流れが入ってきて、横断的な発想がOECD/PISAの開発・調査によって、ますます総合的な教育力=新教養が求められるようになった。哲学ベースのリベラルアーツのハビトゥスを有している麻布学園も、この新教養講座構築に本格的に取り組んでいるぐらいだ。

★たしかアリストテレスは、思想なき技術は愚かだし、技術なき思想は空虚だと語ったとか・・・。ヨーロッパのリベラルアーツの基本的な発想であるが、20世紀産業は、思想なき技術だったし、技術なき思想だったのだろう。それゆえ、戦争回避も環境破壊回避もできなかった。

★21世紀は、この大問題を解決するために、思想と技術を横断的に結合しなければと歴史が時代が叫んでいる。小山校長は、浦和実業でその糸口を作ったのである。中学という3年間を高校に結びつけることで、教養教育を中2から高1にかけての思春期に接合できる。教養とはあらゆる矛盾を身を持って超えようとする知性である。身体と精神のダイナミズムということ。

★この基盤を浦和実業の中高一貫校体制によって創ったのが、小山校長先生。その灯火が浦和実業で継続しているかどうかは、まだわからないが、ともあれ、そういう小山校長の魂が、日本音楽高等学校と共振することになったのである。同校は、音楽コース以外に普通コースがある。音楽専門学校ではなく、音楽という芸術を通して、身体と精神のダイナミズムという「教養=愛と和と誠実」を伝えるリベラルアーツを再構築する可能性がでてきたのである。

★小山校長はクリエイティブ・クラスという新教養人クラスの要請に応える教育の伝道者になっている。先生自身が意図されているかどうかわからない。むしろ時代の水脈である通奏低音と共振しているのだろう。日本音楽高等学校もまたクリエイティブ・クラスを生み出す拠点の1つになって欲しい。中学からはいれないのが心残りではあるが・・・。(本間 勇人)

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