小野学園のビジョンとプラン(1)
★小野学園女子中学・高等学校教頭長谷良一先生にお会いできた。学園サイト内のブログ「今週の小野」を開けると、本当に毎週いろいろな教育プログラムが実践されているが、長谷先生にお会いして、なぜ毎週教育プログラムを実践しているのか、その目標と戦略が理解できた。もっとも浅学非才の身ゆえ独断と偏見は免れないが・・・。
★この一年間、「ビジョン委員会」(学内では美女委員会と呼び親しまれていたらしい)で、ビジョンとその実践プランを徹底的に議論してきたようだ。社会の変化や時代の要請といった外部環境のリサーチに関しては、長谷先生が前任校時代にすでに終えていたし、先生の見識者人脈が応援してくれるので、高品質の情報分析から出発できたようだ。
★外部環境の変化をしっかり押さえていれば、あとは学内の歴史とリソースを洗い出し、時代の要請と微調整しながら教育活動のプランが立てられる。
★「ビジョン委員会」は、学内のリソースと建学の精神の≪言説≫の意味と時代性を問い返すために相当時間をかけたようだ。ある意味学内フィールドワークとインタビューの日々だったのではないかと推察する。
★そしてビジョンが定まった。「どっちもできる育成」がそれである。21世紀の女性は、社会でも大いに活躍するが、家庭も幸せに生きて欲しい。どちらかを選択する女性もいるし、社会も家庭も両方で生きる女性もいるだろう。大事なことはどれでも自由に選べる基礎を育てることだという。選択判断力と選択できる基礎力の育成。なるほど「どっちもできる育成」である。
★次に、このビジョンを実現すべく、学内リソースをデータマイニングした。すると17の力が小野学園には潜在的にあることに気づいたという。
優しさ、愛情、包容力、責任感、他者の個性尊重、他者の自立支援、自己実現、対話力、育成力、柔軟性、緻密さ、創造力、マネジメント力、継続力、決断力、学問、教養
★しかし、この小野学園の潜在的な教育力を肯定的に明らかにしただけでは、結局何も変わらない。そこで、まず17の力のそれぞれのイメージのすり合せの議論をしたようだ。この議論の過程は、豊かな成果を上げたようだ。たとえば「優しさ」という小野学園の潜在的な教育力は、「①相手の立場になって考えることができる。②相手の立場になって行動できる。」という意味であるということを学内で共有できるようになったからだ。学内リソースを表現するキーワードの学園の独自の意味、つまり歴史性の≪見える化≫ができたのである。
★このようにキーワードの意味が明らかになれば、いよいよその潜在教育力を顕在化する段にシフトする。それがブログ「今週の小野」で公開されている教育プログラムという結実なのである。たとえば「自己実現」というキーワードは、小野学園にとっては「①目標が立てられ、達成感が味わえる。②自分の適性・長所・短所を知り、職業を知り、大学を知り、目標が立てられる。」という意味であると情報が共有化されたとする。すると先生方から、「ロールモデル講演会」というアイディアが企画として提案される。というようなサイクルで教育プログラムが次々と実現されているのだろう。
★このようにビジョンの設定。ビジョン実現のプランニングの過程は、教師どうしのジョハリの窓を開くことであっただろうし、企画を立案し実現するノウハウを共有することだっただろうし、教師が互いにリフレクトして改善するPDCAの過程の実現だっただろう。
★小野学園の潜在教育能力は言葉として認識されるだけではなく、教育プログラムとして活動にシフトすることで、学内中が創造的な雰囲気に包まれているはずである。クラブ活動や教科活動と毎週実施される新たな教育プログラムの相乗効果が生まれる仕掛けが回転し始めた。もちろんその遠心力を自己実現のエネルギーに転換するのは生徒たち自身である。[本間 勇人 Gate of Honma Note ]
| 固定リンク

