来春中学入試志望校動向[9]~07年7月センター模試データから
★来春中学入試志望校動向[8]~07年7月センター模試データからのつづき。全国中学入試センター提供データから、1月中の入試・男子選択校(男子校・共学校)を分析。7月のセンター模試の志望校登録者数30人以上の学校を抽出し、登録志望者の多い順に並べてみた。入試日がばらけているので、レンジ別で志望者数の多い順に比較しても有意味は得られないので、単純に多い順に並べ替えるだけにとどめた。人気の傾向は見えると思う。
★200名以上の志望者を集めている学校について、全国中学入試センター制作の「志望校調査集計レポート」から、そのコメントを紹介しよう。それと前年対比130%を超えた春日部共栄と昭和学院秀英のコメントも。
立教新座→05年から06年にかけては志望者数を激減させた同校だったが、07年は前年比108%でやや復調の兆し。レンジ別では、偏差値60以上の層にほとんど変化が見られず、チャレンジ層が厚みを増している。08年入試の難度に大きな変化はなさそうだ。
埼玉城北→平均偏差値は昨年比同等、志望者数も263→276へ微増。注意するのは、偏差値60以上は減少(32→25)しているが、キーになるそれ以下の層で増加。50~60では104→126へ。毎年併願トップは立教新座で2月校は城北を目指す。城西川越①の発表前に受験する。
栄東(東大選)→志望者の平均偏差値がダウンしているのは、チャレンジ層が増えただけのこと。実質勝負所の受験生でも大幅に増加している。西大和学園など県外校入試日程が07年は1/8より開始されたが、08年は埼玉入試開始日の1/10以降に移動するため、上位生の集中は必至。
春日部共栄→07年、04年以来の東大合格者3名を出し期待が増した。志望者数前年比138%。加えて偏差値50~60の志望者比率は25%→36%にアップ。地元決着志向の志望者が多く、今回も埼玉エリア生は67%だが、埼玉入試スタートの日程で、県内の分布も広がりを見せている。
渋谷幕張→志望者数は減少だが実質的には横ばいとみた方が良い。エリア別にみると05年に千葉は約50%を占めていたが07年には35%まで下がり、埼玉はじめ東京、神奈川など首都圏全域への拡大が進んでいる。男子上位生の志望校らしく開成、芝、早稲田は常連。麻布もランクアップ。
市川→毎年、幕張メッセ展示場での入試。首都圏中学入試がマスコミに大きく取り上げられる。昨年は男子のみで2412名が出願、2336名が受験した。千葉県入試の幕開けを告げる入試。合否分かれ目の55~60で増加傾向。大学合格実績も堅調な伸びなので難化傾向。
東邦大東邦→志望者最多レンジは昨年よりひとつ下がり55~60に移動。志願者の約3割がここに集中。県立千葉開校で県内中学受験がさらに活性、中堅私学志望者にチャレンジ意識が芽生えたか。県内占有率は6割を切り、都内の割合が高まっている(06年17.9%→07年26.8%)。
芝浦工大柏→志望者・平均偏差値とも前年を大きく上回る人気振り。キーポイントの偏差値50~55で34→55。更にその上の55~60では22→41へほぼ倍増。難化は避けられそうもない情勢。市川中に合格するとそちらへ大きく流れる。①試験でさえも毎年15%前後の非受験者。
昭和学院秀英→進学校として支持され、志望者は前年比137%。偏差値50台は1.5倍と厚くなった。併願校は圧倒的に市川、東邦大東邦だが、芝浦工大柏が増加。県立千葉との併願も見られる。①(第一志望)定員は50名→40名、②(一般)90名→100名とし、レベルアップを図る。
★こうしてコメントを並べて読んでみると、埼玉と千葉の中学入試が、盛り上がっていることがわかる。県外からの学校の入試参入、県千葉の中高一貫校開設など、外的環境の変化が影響しているようだ。しかし、本当の競争の争点は何なのだろうか。やはり教育の特色だろう。
★上記コメントの中で、渋谷幕張は教育の質がさらに上がっているとみなされているし、芝浦工大柏のユニーク教育が市川の改革路線に苦戦している様子も見え隠れする。昭和学院秀英のコメントには、「進学校として支持され」とあるが、これは「進学校としても支持され」というように「も」がはいるはず。教育の質に支えられた当然の結果として進学実績がアップしているのである。逆に東邦大東邦は都内の志望者の割合が高まっていることがコメントされているが、これは試し受験校としての見方が強化されていることを意味しているのだろうか。東邦大東邦もなんらかの手を打つ必要があるかもしれない。ともあれ、千葉県の私学における教育の質の競争が始まっている。
★一方、埼玉に関するコメントからは、教育の質の競争というより、まだ偏差値レンジや東大合格者の話題が多い。しかし、来春、埼玉の私学は、いよいよ県内の私学だけではなく、多摩エリアの私学との大競争時代が訪れるので、教育の質の競争力を強化しておく必要があるはず。立教新座の復調の兆しの背景には、多摩エリアにMARCHの付属中学が集結する動きの影響があるのかもしれない。また「地元決着志向の志望者が多」い春日部共栄には、もともと教育の質を重視していた私学だけに、期待がかかる。[本間 勇人 Gate of Honma Note ]
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