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2008年4月 4日 (金)

明日の「柔道ニッポン」~“ポスト谷亮子”を期待される私立高校生・中村美里選手~

Photo_2  国際的スポーツのなかでも、日本で生まれ、戦後から今日まで、日本が世界のトップレベルの水準を維持し続けてきた柔道は、いまも国民的スポーツのひとつといえるだろう。2007年は9月13日から16日まで、リオデジャネイロで「世界柔道」が開催された。



 結果として日本は前半戦で大苦戦。アテネ五輪金メダルの鈴木桂治選手や、井上康生選手など、優勝の期待がかかった選手が微妙な判定で惜敗し、重いムードに包まれた。とくに男子は3日目までメダルを得られないまま、ついに最終日に到るという厳しさ。


 しかし最終日、男子無差別級の棟田康幸選手(世田谷学園高出身)がオール一本勝ちで優勝。女子は初日の78キロ超級で準優勝にとどまった塚田真希選手(土浦日大高出身)が、無差別級ではみごと優勝。悲願の2階級制覇はならなかったものの、アテネ五輪に続く金メダル獲得で、「柔道ニッポン」の底力を見せてくれた。


 さらに、48キロ級の谷亮子選手が、アテネ五輪から2年のブランクを経て復活。みごと期待の「ママでも金メダル」を実現してくれた。しかも「世界柔道優勝7回目」という前人未到の大記録を更新。試合後のインタビューでは珍しく涙を見せ「2大会分嬉しい」と語っていたのが印象的だった。


 こうして最終日には「柔道ニッポン」の意地を見せ、女子は8回級のうち7階級でメダル獲得という成績を残した日本選手団だったが、さすがにこうした世界大会では、出場選手のなかでも実力派揃いの日本選手団にとっても、伯仲した試合のなかで、一瞬の隙をついて勝負が決する“接戦”ばかりだということを実感させられた。


 それほど「紙一重の差」で勝負が着いてしまう柔道という競技の厳しさと、そこでなお勝ち抜いていける選手の集中力や勝負強さを見ることができるのが、柔道観戦の醍醐味なのだろう。


 それにしても、日本の柔道選手にとっては、国内大会で勝ち抜き、世界大会の代表選手になることが大きな関門だ。前回のオリンピックや世界柔道の金メダル選手が、必ずしも次回の日本代表になれる保証はない。今回、みごと金メダルを獲得した谷亮子選手でさえ、4月の全日本選抜体重別選手権大会では決勝で福見友子選手に敗れ、論議の末、これまでの実績によって代表に選ばれたという経緯がある。


 その福見選手(筑波大学)は、実は高校2年生のときに谷(田村)亮子選手を破り、連勝を記録を「65」で止めた選手。今春の勝利で、谷選手から2回目の勝ち星をあげた初の選手となった。それほどの有望選手であっても、今回の世界柔道では代表になれず涙を飲んだ。それほど厳しい状況のなかで、なお「明日の柔道ニッポン」を担うべく修練を重ねているのだろう。


 そしてもう一人、この全日本選抜体重別選手権大会の女子48キロ級で、福見選手に敗れて3位になった中村美里選手は、現在、渋谷教育学園渋谷高校の3年生。谷選手のブランクの期間には国内で優勝も経験している期待の選手だ。こうした選手が私立中高一貫校に在籍していることが頼もしい。


 世界の女王としていまなお健在ぶりを見せた谷亮子選手を、いつか乗り越える期待を背負う、こうした選手が日本にはいる。それが「ニッポン柔道」にとっての希望だろう。


[初出:NettyLandかわら版2007年10月号]
(北 一成)



写真は財団法人・全日本柔道連盟のホームページ(http://www.judo.or.jp/top/)。国内外の大会結果や強化選手のプロフィールなどが掲載されているので、関心のある方は参照してほしい。

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