入試問題から学校を探る 社会の問題にみる光塩女子学院の教育理念
2008年春の現役合格者数は早稲田、慶応、上智が52名、GMARCHに80名、国立が16名、ここまでで148名、その他私立の四年制大学の合格を合わせると実に404名に上る。卒業生数が133名であることを考えると、その実績の素晴らしさには目を見張るものがある。
この背景にあるものは、所謂先取り授業や予備校なみの進学のための受験対策授業であろうか。そうではないことは同校の入試問題を見れば明らかである。
今回取り上げた問題は今春の第2回試験からのものだが、全編鉄道をテーマに構成されている。社会科の専門家でなく、鉄道に興味のない者から見ると、鉄道ひとつでこんなにも多くの問題が作れるものかと妙に感心させられる。しかし、少し考えてみれば、鉄道の発展とともに、地域、都市、国の発展があり、物流、文化の交流、技術の開発、経済の発達、様々な利権の発生等、鉄道の歴史と世の中の流れの相関は明らかだ。ここでも、地場産業から二酸化炭素の排出量、鉄道の短所、2000年前の日本の様子、16世紀の日本とヨーロッパの交流、世界地理、線路や蒸気機関の構造、外国為替、東京の路線図、満州事変等、実に多岐に渡った設問が作られている。そのすべてはここに掲載した900字程の文章から導かれているが、総数10ページ、21の設問すべてを掲載できないので、興味のある方は同校のサイトを訪問してみることをお勧めする。
さて、広範な設問の中から問14の②を見てみよう。ここで取り上げられているのは鉄道唱歌だ。なんとなく見聞きした覚えがあり、メロディも浮かんではくるのだが、習った覚えもしっかりと歌った覚えもない。調べてみると1900年5月10日に第1集東海道篇が作られ、同年11月までに全5集、334番まで編まれたということだ。改めて歌詞を眺めてみると、鉄道の沿線に地理と歴史が編みこまれ、教材としての完成度の高さに感嘆する。
鉄道というひとつの素材から、これだけ話題を広げ、課題を掘り起こしていく姿勢は、きっとそのまま授業に反映されているに違いあるまい。様々な項目を覚えこまなければならない暗記科目と捉えられがちな社会科という科目において、生徒の興味、関心を掘り起こし、自ら学び進む姿勢を生徒の中に育んでいくために幾多の工夫がなされているのだろうということが、入試問題から垣間見られる。こうした生徒や教科への姿勢が光塩女子学院の冒頭の合格実績を生み出しているのだろう。
【初出:NettyLandかわら版9月号】
(藤崎 正彦)
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