入試問題から学校を探る 理科の問題にみる学習院女子中等科の教育理念
学習院女子中等科は卒業生の約7割は学習院大学へと進学するが、その影で他大学への合格実績を着実に伸ばしているのをご存知だろうか。2008年春の他大学への現役合格者数は東大2名を含め国立大学が10名、早稲田、慶応、上智の合計39名をはじめとした私大の合格者数が合計146名となっている。単純に卒業生数を分母とした他大学への合格率は実に85%にも上る。あまり取り上げられることはないが、立派な進学校なのだ。その内訳も医科大、薬科大等の理系から、音大、美大等の芸術系まで多岐にわたる。これは、自主性を重んじ、自分の頭で考え行動できる女性を育てることを進路指導においても徹底していることの証であろう。
さて、今回取り上げた問題の素材はメダカという慣れ親しんだものだが、教科書的な知識にとどまらず、自分の頭を使って考えることを要求している。問題文の第1段落は食物連鎖の問題だが、大きな魚や鳥以外のメダカの天敵が2つ、すぐ思いつくだろうか。水辺の生き物の生態をじっくりと思い起こしてみて、やっとザリガニやヤゴ、タガメといった水生昆虫が浮かんでくる。しかし、これさえも実体験があるからこそであり、ヤゴやタガメなど見たこともない受験生の方が圧倒的に多いのではなかろうか。そうであれば、あとは持てる知識を総動員して自分の頭で考えてひねり出していくしかないのである。そのためには、普段から様々なことに興味、関心を持ち、身の回りに起きる現象を観察したり、自ら調べたり、考えたりということがどうしても必要となる。
第2、第3段落ではメダカとヒトのからだのつくりを比較している。メダカの5種類のひれのうち、ヒトの手と足に相当する部分を答えさせているのだが、ここでもなぜそのように考えたのかを記述しなければならない。さらに第4段落ではメダカが絶滅危惧種に指定されたことを取り上げているのだが、ここではメダカが減少した主な原因を2つ記述しなければならない。絶滅危惧種自体は聞きなれた言葉であるが、ここでも単語として知っているだけでよい訳ではなく、何故絶滅の危機に瀕しているのかということを一歩進めて考えておくことが必要だ。環境問題が様々に取り上げられる昨今、生活の場を失っている生物が多いことや、外来種に駆逐されていく生物について見聞きする機会は少なくないはずで、やはり社会現象や自然科学に対する自発的な学習姿勢が求められているのだ。
「自ら学習に励むこと」を大切にすることが「その時代に生きる女性にふさわしい品性、知性を身につけること」の根幹であると言えよう。
【初出:NettyLandかわら版2008年10月号】
(藤崎 正彦)
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