初夏の風を受けて海へ 中学生の手作りヨットが逗子湾を帆走
逗子湾に面した砂浜は約850メートルにおよび、夏の海水浴や、四季を通じてのマリンスポーツ、散策など多くの人々に親しまれている。
その逗子湾で、今年も5月から6月にかけて、逗子開成の中学生が自分たちの作った「手作りヨット」で海を帆走するという、同校の海洋教育の一環である恒例の実習が行われた。
取材に訪れたのは6月4日(木)。中学2年生をいくつかのグループに分けて、手作りヨットの進水式と帆走実習を5月から実施してきたが、最後のグループの実習が天候のため何度か延期され、この日ついに実施された。
逗子開成の海洋教育はつとに有名。ここで細かくは触れないが、同校の中高一貫教育の多彩なプログラムのなかでも中軸をなすものだ。また、逗子海岸に隣接する同校の海洋教育センターは、リゾートホテルのような外観と、そこで宿泊や入浴、ヨット作りもできる機能を持つ施設。目前に逗子湾の四季を眺望できる絶好のロケーションは、全国の私学でも珍しいものだ。
中学入学時から中2の春までかけて、各クラス7~8名のグループごとに、自分たちの手で作り上げてきた5艇のヨット。その船縁には製作にあたった仲間たちの名前が列記されている。
その学年の手作りヨットの進水式を兼ねて、毎年この時期に実施されてきたこの帆走実習。先輩たちが作ってきた代々のヨットも加えて、20数艇のヨットが、逗子開成の校章入りの帆を掲げて帆走する景色は壮観だ。わが子が海へ出る姿を見ようと海岸で見学する保護者も多く、この日も40名以上の母親が砂浜から海を見つめている。
スポーツを通して身につけられることは多いが、なかでもアウトドアの競技では、天候や風など自然の要素に逆らわず、うまく味方につけて乗り越える必要がある。ことに海上で競技するヨットやサーフィンなどは、まさに波風と向き合って、「心・技・体」を競う、究極のスポーツともいえる。
「ラグビーは少年を大人にする」という言葉がある。スポーツを通して、人生に必要な力を育てることができるという意味だろう。この逗子開成の海洋実習は、まさに「ヨットが少年を大人にする」という側面を持つという。
もちろん安全管理には万全の注意が払われているが、いったん海に出てしまえば、あとは自分だけの力で、時々の風をうまく使ってヨットを操り、沖に浮かべられた2箇所のブイを回って、海岸に戻ってこなければならない。海岸から見ると比較的ゆっくりしたヨットの動きも、実際に一人で帆走すると、かなり早く感じるという。
それを中学2年の生徒たちが、初めて成し遂げたとき、「少年が男の顔になる」と同校の先生方はいう。
6年間で体験できたことが、人生を生き抜く力や支えになり、仲間との絆や貴重な思い出となる。それが中高のスポーツの魅力だろう。
【初出:NettyLandかわら版2009年7月号】
(北 一成)
逗子湾の風を受けて進む手作りヨット。午前中いっぱいかけて、一人が2~3周、この海を帆走する。青の50番台のヨットが、この学年の生徒の作ったものだという。
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