2007年5月26日 (土)

大学入試でもパワーを発揮する頌栄女子学院の海外帰国生

Syoueijyosigakuin_015 頌栄女子学院(東京都港区・女子校)といえば、1学年約220~230名ほどの生徒たちのなかに、毎学年50~60名の海外帰国生がいることで知られる、積極的な「帰国子女受け入れ校」だ。また、都営浅草線「高輪台駅」から徒歩1分という交通至便の都心に、「ここがホントに港区なの?」と驚かされるような豊かな自然に囲まれた、素敵な雰囲気のキャンパスも大きな魅力のプロテスタント校である。

Syoueijyosigakuin_022中1から高1まで、毎学年5クラスのうち3クラスに海外帰国生が分散し、それでも1クラスの半分が帰国生という形になる同校の雰囲気には、インターナショナルスクール的な部分さえ感じられる。明るさ、屈託のなさ、活気が日常生活にあふれ、それでいて一方では、トラディッショナルな落ち着きも併せ持っている。

毎年12月中旬に実施される海外帰国生の入試は、英語(筆記・英会話)と面接で行われるため、合格者・入学者のほとんどは英語圏の小学校、もしくはインターナショナル・スクールで過ごして、英語を身につけてきた生徒である。そうした英語力の高い生徒が同じクラスに約20名もいるわけだから、日本で育ってきた一般の生徒が、彼女たち帰国生から受ける刺激や影響は大きいだろう。

5クラスのうち2クラスには、帰国生が混ざらない形だが、毎年クラス分けがあるため、誰でも一度は必ず帰国生のいるクラスに入り、彼女たちと一緒に過ごすことになるという。英語に関して良い刺激を受けるだけではなく、それぞれが過ごしてきた国や環境の違いによる文化的な刺激も受けることもできる。また、互いに得意・不得意なことを助け合う姿勢を自然に生まれてくるという。

Syoueijyosigakuin_042そういう日常が、この頌栄女子学院にとっては「当たり前」のことになっているため、在校生はそうした環境を特別なものとは感じていないという。そのなかで、海外や世界に自然に目を向け、そこで国際的な感覚を育てることができることが、頌栄女子学院という私学の際立った特徴のひとつだろう。

6月2日(土)に中村中学校で行われる「私学の国際化教育」をテーマにした講演会には、この頌栄女子学院からも帰国生ご担当の先生が参加してくれる。この先生ご自身が帰国生として頌栄女子学院に入学し、卒業して、母校の英語教員として勤める形になり、現在は帰国生の担当もされているという。きっと講演会の当日には、ふだんの説明会とはちょっと違った、楽しいお話が聞けるに違いない。

はじめにこの講演会へのご参加の依頼をした際に、同校の広報ご担当の先生は「うちの学校は何も特別な“国際化教育”はしていないですよ」とおっしゃっていたが、そういう自然なスタンスこそが「頌栄の国際化教育に違いない」と筆者は勝手に理解した。きっとそう間違ってはいないと思う。

この講演会の下打ち合わせにうかがった昨日、頌栄女子学院の生徒たちの「英語力を生かしたキャリアデザイン」についてお聞きしてみた。実は同校は、イギリスに「ウィンチェスター頌栄カレッジ」という姉妹校を持つため、高校卒業後に留学を望む生徒は、ほとんどがそちらに進学するという。

おそらくは、小学生時代までに英語圏の国々で長らく過ごしてきた生徒が多いため、どちらかというと帰国後は日本に生活の軸足をおき、大学も国内の難関大学への進学を希望する生徒と保護者が多いようだ。

ただし大学在学中に留学を考えている生徒の場合には、早稲田や上智といった、しっかりとした留学制度をもっている大学を希望するケースが多いという。

そして何より驚かされるのは、帰国生の大学受験における実績の良さである。東大や一橋大をはじめとした国公立大、早・慶・上智大などの難関私立大学に、かなり多くの帰国生が毎年コンスタントに合格している。

そして大学卒業後には、各自の進んだ分野や入社した企業・団体で「英語力を生かした国際的な仕事」についているケースが非常に多いという。ここで頌栄女子学院の卒業生が本領(パワー)を発揮しているというわけだ。

そんなパワフルで、なおかつインターナショナルな活躍を見せる頌栄女子学院について「国際化教育」という側面からもっと知りたい方は、6月2日(土)の中村中学校での講演会(9:00~11:00)に足を運んでみてほしい。参加校は、頌栄女子学院のほか、会場校の中村かえつ有明(江東区・男子校)聖学院(北区・男子校)世田谷学園(世田谷区・男子校)の5校。いずれもこの「国際化教育」というテーマにふさわしい私学の先生方のお話を聞くことができる。きっと価値ある内容になることと思う。 

なお、頌栄女子学院の帰国生受け入れの様子については、日能研が開設している「海外子女のための中学進学情報」サイトでも以前に紹介されている。関心のある方は、そちらもご覧いただくことをお勧めしたい。 (北 一成)

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2007年5月25日 (金)

「国際化教育」が世田谷学園の大学進学実績をさらに伸ばす

6月2日(土)の9時から、中村中学校(江東区・女子校)を会場として「クリエイティブ・スクールを探せ!~世界水準の教育で求められる力と、私学の国際化教育~」講演会(保護者対象)が行われる。

先にもお伝えしたように、参加校は中村のほか、かえつ有明(江東区・男子校)聖学院(北区・男子校)世田谷学園(世田谷区・男子校)頌栄女子学院(港区・女子校)の5校。各校の「国際化教育」の取り組みをそれぞれお話いただき、その工夫やめざすところを知ることができる貴重な機会である。

このほかNTS教育研究所・国際教育情報室室長の岡部憲治による基調講演や、5校の先生方によるクロストークなどもあり、きっと「わが子の学校選び」に役立つ情報が得られることと思う。この日、もしお子さんが午前中にお通いの塾でテストを受けているならば、その時間帯に、ぜひ保護者の方に足を運んでみてほしい。私学の教育について視野を広げ、理解を深めていただける良い機会になることと思う。

Setagaya01 昨日、ご参加校のひとつである世田谷学園をお訪ねして、この日にご出席いただける同校英語科の北原透先生からお話をうかがった。世田谷学園の「国際化教育」の取り組みはさまざまであるが、とくに「異文化体験プログラム」のなかに位置づけられた、中学3年生のニュージーランド研修旅行と、高校2年生のカナダ英語研修に焦点をあてて、講演会ではお話いただけるという。

ここ数年、大学進学実績のめざましい躍進で、首都圏の男子進学校のなかでも注目される存在となった同校。東大をはじめとした国公立大学や早・慶・上智大など私立難関大学にもコンスタントに卒業生が合格・進学するようになっているだけに、中学受験生の保護者からの期待も年々高まっているという。

そうした段階にあるがゆえか、高校卒業後すぐに海外の大学に進学するケースはいまのところ多くないようだが、北原先生は別の面で生徒の「海外進出」に触れた。それは、大学や大学院を卒業してから、海外に活躍の場を求める卒業生が増えているということだった。「海外で働くということにあまり壁を感じない、という卒業生の話をよく聞きます。それには、世田谷学園での海外体験が役立っているようですね」と先生はいう。

「とくに中3でのニュージーランド修学旅行では、生徒は現地の家庭に一人ずつのホームステイを体験します。初めてのことですから、事前にも不安を感じますし、実際にそこでかなりのカルチャーショックを受けるようです。でも、そういう体験をしたことで、後に海外に出ていくときにも、さほど不安や壁を感じなくなるということだと思います」と北原先生。

男子校の生徒は、女子校の生徒と比べると、積極的に英語を使って海外の人とコミュニケーションをとることや、海外の進学先を視野に入れることに、どちらかというと消極的な面があるということも北原先生は指摘する。留学に関してもその傾向があるという。おそらくは精神年齢の違いも関係しているに違いない。ただ、そういう男女の性差による傾向はふまえたうえで、同校独自の「異文化体験プログラム」を組み立ててきたことが、世田谷学園の国際化教育の特色といえるのだろう。

一方では、受験生の保護者からの期待値が高まるとともに、さらなる「大学進学実績の向上」が求められるという面も、いまの世田谷学園は課題として抱えている。しかし「だからこそ国際化教育が求められるのですよね」という当方の質問に、先生は「そう考えています」と答えてくれた。海外にも目を向けた大きな目標や高い志を持つことで、大学受験に臨むモチベーションも高まり、生徒の日常の意識も違ってくる。「国際化教育」が結果的には大学進学実績を伸ばすことにつながることを、世田谷学園は次のブレイクスルーとして期待しているに違いない。

仏教の「天上天下唯我独尊」を、「THINK & SHARE」という言葉に置き換えて教育理念とし、それを達成するためのモットーとして、「明日を見つめて、今をひたすらに(FROM VISION TO REALITY)」と「違いを認め合って、思いやりの心を(FROM RESPECT FOR EACH TO RESPECT FOR ALL)」を掲げる世田谷学園。その「国際化教育」の求めるものを、6月2日の講演会で感じ取っていただければと思う。 (北 一成)

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2007年4月11日 (水)

時代はクリエイティブ・クラス

★ジョージ・メイソン大学 教授リチャード・フロリダは、著書“The Rise of The Creative Class(2002)”、“The Flight of The Creative Class (2005)”で、多くの先進国では、クリエイティブ・クラスと呼ばれる全く新しいタイプの労働者(新しいアイデアや技術、コンテンツの創造によって、経済を活性化・成長させる役割を担う)が、労働力人口の約30%を占めると推計。国境を越えて自分の住みたい都市を選び、移動していくため、都市はクリエイティブ・クラスを引き寄せるデザインをし、企業はクリエイティブ・クラスが集まる工夫と場所を選択する人材マーケティングを重視していくようになる。時代はクリエイティブ・クラスなのである。

★NTS教育研究所の岡部憲治と両著を読んで、私たちは、これはクリエイティブ・ピープル育成とクリエイティブ・クラス創出は全く次元の違うものだと認識した。リチャード・フロリダ自身、日本には創造的人材は他の先進国よりたくさんいるのだが、クラスは形成していない。それぞれの産業構造に埋もれていて、本来的な創造性をグローバルに発揮していないと指摘している。

★私たちは、私立中高一貫校のクリエイティブ・ピープル輩出の教育の質を見てきたが、≪私学の系譜≫からいけば、man for othersとしての個人であるから、個として優秀な人材を輩出するだけではなく、社会や世界を変える影響力ある新しいクラスを形成する人材を輩出できるはずであると考えた。

★そこでクリエイティブ・クラスを形成する人材を輩出する≪未来を創る学校≫を探す企画を立て、実行し、今に到っている。

★2004年には、まだクリエイティブ・クラスという明確な輪郭はなかったものの、「首都圏私立中高一貫校の選び方~未来を創る学校」というテキストを書き上げた。

★そして2005年には、日・EU市民交流年イベントとして「≪未来を創る学校≫セミナー」を年3回開催した。そして3回目の各学校(那須高原海城・白梅学園清修・八雲学園・洗足学園)の先生方とは、クリエイティブ・クラスを形成するリーダーをどう育てるかをベースにパネル・ディスカッションをした。

★当時はリチャード・フロリダの訳本がまだなかったので、クリエイティブ・クラスというキーワードは世に流布されていず、共有するのには、パネルをやる前に先生方とNTS教育研究所のスタッフは時間をかけて打ち合わせをした。

ホンマノオトでクリエイティブ・クラスについて少し書き始めたのもそのころであった。岡部の方は、≪未来を創るセミナー≫で実際講演もし、その後、本人自身のサイト“Real Voice”で、6回に渡って 「都市再生から都市創造へ」という論文を書いている。

★その後、日経新聞でリチャード・フロリダが取り上げられ(これについてはホンマノオト参照)、この流れがやっと日本にも認識されるときが近いと確信し、Netty Landのフリーペーパー「かわら版」でも、クリエイティブ・クラスを形成する人材を輩出する学校を、クリエイティブ・スクールとして紹介する編集をしていった。本ブログでも昨年の12月に「女子美大付属と国立音大附属」についてクリエイティブ・クラスという観点で書く試みをした。

★そして「かわら版2007年1月号」では、特集「クリエイティブ・スクール」を企画編集した。135校が「未来を創るクリエイティブ・スクール」としてメッセージを贈ってくれた。「時代はクリエイティブ・スクール」という記事の冒頭で私はこう書いた。

21世紀をリードする人材は、多様な才能(Talent)を持ち、その才能を実現できる技術(Technology)を磨き、他者の痛みを受け入れ、信頼を作る(Tolerance)ビジョンを創っていける3Tが必要だと言われています。ある社会学者はこのような価値観や活動力を持っている人材グループをクリエイティブ・クラスと呼んでいます。

★このある社会学者こそリチャード・フロリダである。そしてこの3Tという視点で、NTS教育研究所の吉井千花と岡部憲治が学校を取材し記事を編集した。

★この企画に関して岡部と私は、「週刊ダイヤモンド別冊 2007年3月27号 いま、試される父親力」の編集者に取材され、7ページに渡って取り上げられている。もちろん、リチャード・フロリダの件についてもきちんと扱われている。

★しかしながら、一般に日本においては、まだまだクリエイティブ・クラスについては関心が広まっていない。創造性ということに関しては当たり前のように語られるのであるが、それがクラスという概念で捉えられていない。というのもこの概念が広まると、産業構造に大きな変化が現れるからである。と少し気弱になっていたのだが、やはり、経済界は、フラット化に壁を作るようなことはしなかった。

★今月、ダイヤモンド社は、“The Flight of The Creative Class (2005)”の翻訳を「クリエイティブ・クラスの世紀 」(訳者井口 典夫) という題で発刊。 また同時発売の“Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2007年 05月号”で、「クリエイティブ資本主義」という特集を組み、リチャード・フロリダが前面に出てくる。また、“The Rise of The Creative Class(2002)”の翻訳も秋に出る予定だという。

★リチャード・フロリダがクリエイティブ・クラスという新しい考え方を世界に発信してから5年が経過して、やっと日本でも広がる可能性がでてきた。やはりグローバルな考え方に関しては、日本は相当遅れていると考えたほうがよさそうだ。それが教育というフィールドになるともっと遅れているだろう。文部科学省の教育行政・政策が時代錯誤に見えるのもそういうわけだったのである。

★しかし、それであきらめるわけにはいかない。だから私立中高一貫校に期待がかかる。時代はクリエイティブ・クラス、そしてクリエイティブ・スクールなのである。(本間 勇人)

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2007年1月30日 (火)

脳科学から考える学校選択“古くて新しい”男子校・女子校

今年は脳を鍛えるソフト・教材から電卓まで様々な脳関連商品が発売され、脳トレブーム
とも言える一年だった。大人から子どもまで楽しみながら多いに脳が刺激されたことだろう。

最近では、脳トレのみならず脳科学が文系基調であった学習や教育の分野に取り入れられている。

例えば、アメリカでは脳の発達に男女差があるという研究から男女別のカリキュラムを採用する学校が増えている。一説では成長段階の男の子の場合はセロトニンが少なく、女の子の場合はオキシトシンが多い。このことから男の子には一日に短い体操の時間を数
度作り、女の子には教室の一角にカーペットを置き、いわば“おしゃべり”の場をつくった。テストも男の子と女の子でやり方を変えている。

「男の子は落ち着きがない」「女の子はいつまでもおしゃべりしている」と昔から言われるがそれを裏付けているよ今年はうだ。言うなれば、脳の発達に基づいて男女別学を行っていることになる。

有名な東北大学の川島隆太教授の研究によれば、簡単な計算、音読によって脳(前頭前野)が活性化することがわかっている。つまり、「脳を鍛える」=「前頭前野の機能を高める」と言い換えられるかもしれない。だが、米国立衛生研究所(NIH)によれば女の子の前頭前野は11歳までに最大の「厚さ」に発達する一方、男の子はそれより1年半遅れるという。それほど大事な前頭前野の発達に男女差があるのならば教育や学習に差が出てきても不思議ではない。

最近は共学校への人気が高まり共学化した学校もずいぶんと増え、首都圏の男子校・女子校はほぼ東京都と神奈川県に集中している。今こそ、“古くて新しい” 男子校・女子校を脳科学の観点から学校選択の視野に入れるのもいいのではないだろうか。

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参考:
Newsweek 日本語版 2005.9.28「男女共学は時代遅れ?」より
Newsweek 日本語版 2006 2.15「男子の学力低下が深刻なアメリカ。性差が学力格差を生む衝撃の事実と、「男女別学」という指導法の有効性を最新科学で解き明かす」より

[初出:NettyLandかわら版12月号]
(岡部 憲治)

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2007年1月13日 (土)

英語ができないとダメなの?

日本人学校出身の帰国生も受けやすい学校

上海の日本人学校の在籍生徒数が、いま非常に増えているという。10月14日(土)には、日能研も上海で「帰国子女説明会」を実施したばかりだ。

Hot0611_7_1英語圏に在住する小学生の家庭では、わが子を現地校に通わせることで英語力を育てながら、補習校で学習のフォローをするという選択もできるが、非英語圏ではそういう選択が難しい(選択肢がない)国や地域がある。

たとえば上海の日本人学校であれば、在学中に多少中国語を学ぶが、欧米の現地校で日常的に英語に触れるのとは意味が違う。学校外の塾や英会話スクールで英語を学ばせている家庭もあるようだが、それでも英語圏の国で過ごす小学生のように、英語を身近なものとして生活するわけではない。つまり外国語力を育てるには、ほとんど日本国内と変わらない環境にある。

しかし、やはり学齢期を海外で過ごした子どもたちには、日本国内で中学受験勉強をしてきた小学生に比べてハンディーがある。帰国後の学校選択が悩ましい問題となるのは当然だろう。

左の表は、首都圏の学校で、一般入試とは別枠(別日程・別定員・別入試形式)の「帰国生入試」のうち「英語なしで受験できる」学校を抜粋して紹介したものである。

特別な英語力を身につけていなくても、帰国生にとって受験しやすい学校が意外と多く見つかる。もちろん多くの場合、「国・算」が試験科目に含まれるので、基礎的な学力を身につけておくことが課題となる。ただ、なかには「作文のみ」とか「国語と作文」、「算数と作文」などで入試を行う学校があり、現在の「帰国生入試」形態はHot0611_7_2バリエーションに富んでいる。

よく探していくことで、その学校の「帰国生受け入れのコンセプト」や「入学後の指導姿勢や学習のフォロー」が、ご家庭の考えや期待とマッチし、安心して子どもを預けられる私学がきっと見つかることと思う。それには、まずインターネットなどで自ら情報を入手し「学校を知る」ことがポイントだ。

[初出:NettyLandかわら版11月号]
(北 一成)

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2006年11月21日 (火)

多様化する帰国生への期待

少しずつ間口が広がる「帰国子女入試」の形態

帰国子女を受け入れている首都圏の私立・国立中学校の「受け入れ理由」を、日能研が2005年にアンケート調査した結果が下のグラフである。Hot0610_07_1_1

1位が「国際理解教育・異文化理解(にプラスになる)」となっており、2位~6位まで、さまざまな理由が並んでいるが、これらは表現を変えた、同じ意味の期待と考えてもよい。

8位には「教育方針の実践・設立目的のひとつ」が来ているが、もともと、海外赴任者の子女や帰国生の受け入れを創立の主目的として生まれた、南山国際(愛知県豊田市)や啓明学園(東京都昭島市)などは、まだ国内の「帰国子女受け入れ校」のなかでは少数派といえるだろう。

Hot0610_07_2_1 それらの「帰国子女教育」に特化した私立・国立中学校を除くと、国内の大半の私学では、とくに「英語圏」の国で海外生活を体験した子どもを受け入れ、帰国生の(日本国内への)適応教育を行うとともに、その生徒の語学力(英語力)の維持、伸長を図ること海外帰を主目的として「帰国生の受け入れ」を行ってきた。

帰国生の高い語学力や海外体験で得られた知識や感覚が、国内で過ごしてきた一般生徒にも良い影響や刺激を及ぼし、学校が一段と活性化することが期待されてきたと理解してよいだろう。

つまり、「非英語圏」からの帰国生や、海外では日本人学校に通い、さほど外国語に触れてこなかった帰国生は、入試に際して優遇・配慮されるケースは比較的少なかったというのが現実だ。

しかし、最近では時代の変化に応じて、少しずつ間口も広がってきたように感じられる。国内のインターナショナルスクール出身者や系列小学校からの希望者も「国際学級」に迎え入れる東京女学館(東京都渋谷区)や、各自のプロフィールや得意科目に応じて、4種類の入試形態から選んで受験できる名古屋国際(愛知県名古屋市)、海外体験の有無に関わらず、英検3級以上を取得している小学生を英語選抜入試で受け入れる聖学院(東京都北区)など、ユニークな入試(受け入れ)方法を行う私学が見られるようになった。

そうした新たなチャンスを見つけ、わが子のより良い進路を探すためにも、保護者が最新の情報をキャッチするアンテナと姿勢を持ってほしいと思う。

(北 一成)
[初出:NettyLandかわら版10月号]

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2006年10月27日 (金)

帰国生が望む学校

帰国生は海外の学校生活を通して、異文化間の教育のギャップを感じる繊細な感覚を体得している。だから、そのギャップを埋め、自分の潜在能力を引き出してくれる学校を探している。

私立・国立の中学受験は、圧倒的に国内の一般生の受験が多いため、大学進学実績という国内指標で学校選択がされているように、多くのマスコミは映し出す。実際は、各学校の教育の中身や在校生、教師、卒業生の状況を調べながら選択判断されているのだが。ところが帰国生の場合、海外の学校生活の中で、苦楽を体験している。帰国後も大学進学実績がよいかどうか以前に、海外と同じように楽しく学べる環境を見つけたい。しかし、そういう環境をどこの学校でも持っているわけではない。

Kawara0609_7_2_2 JERC主催のセミナーで、ある保護者は「アメリカの教育は日本に比べ、子供の人間性を尊重してほめる教育だという実感を抱いています。娘は詰め込みではなくプロジェクト型の学習を楽しんでいます。思考力を育てられるすばらしい環境ですから、同じような環境を持っている日本の学校を望んでいます」と。一方で「海外に出れば、誰でも英語は完璧に身に付いてから帰国すると思われがちです。でも、状況は全く違います。確かにしっかり身に付いて帰国する子もいますが、聞く・話すはできるが、読む(理解)・書くという分野はできないという子も少なくありません。帰国しても自分が帰国子女だということを隠す子もいるぐらいです。帰国子女で大学進学実績を出せると思っている学校は選びたくないです。」と語る保護者もいる。

来年から国際中等教育学校になる学芸大大泉の学校要覧には、

「帰国生への支援と同時に、彼らが海外生活によって得た特性に注目し、一般生との相互交流を通して帰国生と一般生とが共に向上する教育をめざしている」

とある。英語力というより学校自体を国際社会にしたいのだろう。

Kawara0609_7_1 ある帰国生自身も「英語とか大学進学とかよりも、友達ができるかが一番心配です。」と。異文化間の教育をつなぎ、帰国生と一般生のシナジー効果を生み出すチームを生み出せる学校に帰国生は集まるということではないか。

(本間勇人)
[初出:NettyLandかわら版9月号]

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2006年10月 2日 (月)

どうなる英語教育

今後の英語教育の目的は国際競争力を維持することか?

文部科学省の「小学校英語活動実施状況調査結果」
によると、2005年度に「英語活動を実施した学校は20803校で、全体の93・6%に相当。ただし、高学年はそのほとんどが総合的な学習の時間で行っている。

Hot0607_01 もともと2004年に文部科学省はスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールを打ち出し、翌年には「『英語が使える日本人』の育成のための行動計画」を策定するなど、着々と初等・中等教育の英語教育に力を入れている。したがって、今年3月27日、中央教育審議会の外国語専門部会は小学校で英語の必修化を求めた報告をまとめ、英語コミュニケーション能力の育成が不可欠として高学年(5~6年)で平均週1回(年間35単位時間)の英語教育を行うよう提言。

 

これによって国際化、情報化、科学技術のグローバルな発展において、経済成長をとげている東アジア諸国の追い上げに、日本経済は対抗していくというのが意図だろう。

Hot0607_02_2 一方、多くの私立中高一貫校は、1990年代から海外研修や留学システムを整え、TOEFLやTOEICなどの英語力の資格にチャレンジするプログラムを実践してきた。その代表的な存在が洗足学園で、中学生からロサンゼルスの現地校に留学するコースや帰国生の授業システムなど独自の英語教育をデザインしている。

また2003年から東京女子学院は、中学生の英語のすべての授業において、外国人講師による英語だけの授業を展開する大改革を遂行し、成功。八雲学園東京女子学園の英語教育なども使える英語教育を早くから実施し、多くの学校関係者や教材出版社が、その授業実践に関心を寄せている。

私立中高一貫校の最大の目的は、日本の国際競争力を維持することよりも、世界的な二極化や貧富の差、またそれによる世界の紛争や戦争などを解決し平和を構築していけるリーダーをいかにして育成するかに重点がある。英語教育と世界問題に意識をもつ探究プログラムや論文編集プログラムとの有機的結びつきを果たしているところが多い。

[初出:NettyLandかわら版7月号]

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