2007年5月27日 (日)

湾岸エリアに誕生した共学進学校、かえつ有明への大きな期待!

引き続き、6月2日(土)に中村中学校(江東区・女子校)で行われる「私学の国際化教育」講演会に関する話題として、参加校のひとつである、かえつ有明(江東区・共学校)について触れたい。

Kaetuariake01 かえつ有明は、長年「怒るな働け」というユニークな校訓を掲げて、自立した女性の育成に努めてきた千代田区の女子校、嘉悦女子中高が、2006年春に有明の地に移転して、同時に共学化を果たしたフレッシュな進学校。

近年、臨海副都心に近接するエリアの開発が進み、学童生徒数も増加に向かっている江東区に生まれたニュータイプの私立中高一貫校として、中学入試でも大いに注目を集めている学校だ。

Kaetuariake02 とくに東京の都心部には、大学付属校タイプを除いた共学の進学校は意外に数が少なく、たとえば渋谷学園幕張や青稜といった共学の進学校に、かなり広いエリアからの人気が集中する傾向が目立ってきた。そのなかに、東京湾岸エリアからも、隣接する千葉エリアからも通学可能な共学進学校として、このかえつ有明が誕生したことで、受験生にとっては嬉しい選択肢が加わった。

もうひとつ、6月2日の「国際化教育」講演会の会場校である中村が1991年に中学を再開し、中高一貫校として再スタートするまでは、江東区内には「私立中高一貫校が存在しない」状況が一時期続いてきた。その意味でも、中村に続いて区内の私立中高一貫校として生まれた、このかえつ有明は、首都圏の中学入試の構造に、新しい風を吹き込んでくれた存在といえるだろう。

東京や横浜と同じように、私立中高一貫校が数多く存在し、「中学受験のメッカ」ともいわれる神戸にあって、いまでは日本一の進学校と評され、「中高一貫教育のパイオニア」ともいわれる灘中高の第4代校長で、灘の“中興の祖”ともいわれる勝山正躬先生(故人)は、かつて「私学駅前パチンコ屋論」という持論を唱え、「同じエリアに競合する私学が多いほど、それぞれの私学(パチンコ屋)は発展する(流行る)」という意味のことを主張していた。

学校をパチンコ屋にたとえた表現には、私たち塾関係者も驚かされたものだが、それにしても明快な論旨と表現だったのではないかと思う。現にその後も、私立中高一貫校が増えたエリアほど中高一貫教育への注目度と中学受験率が高まり、そのエリアの私学も発展に向かっている。

そうしたことも振り返りつつ、かえつ有明の将来に向けての進化・発展に注目している受験関係者は多いことと思う。そうした点で、最近の首都圏中学入試で人気ブレークしている中村と同じように、このかえつ有明も、江東エリアだけではなく、首都圏中学入試における注目校・話題校のひとつであることは間違いない。 Kaetuariake03

あえてお伝えすれば、このかえつ有明と中村は、共学校と女子校という違いはあっても、近接エリアで互いに人気競合する、いわば「ライバル校」。同じ場で机を並べて説明会をする場は珍しい(ほとんどない?)。しかし、そのエリアで伸びている私立中高一貫校に関心のある家庭からすれば、どちらも選択肢のひとつになるわけだから、両校の話が聞ける機会というのは貴重だろう。

今回の6月2日(土)の講演会では、その両校が「国際化教育」という切り口で話をしてくれる。ほかにもテーマにふさわしい、聖学院(北区・男子校)世田谷学園(世田谷区・男子校)頌栄女子学院(港区・女子校)の計5校がこの会に参加校してくれる。

このなかで共学校は、かえつ有明だけとなる。また、校地移転と共学化から2年目を迎えて間もない同校だけに「国際化教育」のプログラムにも、まだ確立されたものは正直ないと先生方はいう。しかし、新しい体制で“第2幕”をスタートさせた同校は、6年後の大学合格目標も明示し、理数の授業時間は首都圏でもナンバーワンという「難関大学進学コース」を設置し、すでに多くの受験生の期待を集めている。

IT、環境、男女共同参画社会を担う日本人の育成をめざして、優れた学力と豊かな人間性を身につけ、高い志をもって国際社会でも活躍できる人間を育成することが同校の目標。「高い英語力を身につけ、世界に誇れる日本の礼法、武道も習得することで、国際的に活躍する真のエリートを」と謳う、かえつ有明。その将来に向かうベクトルと学校全体の意欲を、この機会に感じてもらえることと思う。Kaetuariake04

そして、このかえつ有明中高や中村中高が、そして聖学院や世田谷学園や頌栄女子学院が、この先、かつて灘中高が「日本一の進学校へ」と着実に歩んでいったように、それぞれのスタイルで「中高一貫教育のパイオニア」になっていくことを楽しみにしたい。 (北 一成)

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2007年2月 7日 (水)

いま、改革を進める名古屋エリアの私学

積み重ねてきた伝統に、新たな魅力をプラス

東海地区には、名古屋を中心に、魅力あふれる私立中高一貫校が数多く存在する。そして、そのなかには、さらに改革を進め、自らの教育内容を一段と進化させようとしている私学の姿が目立つ。そうした意味でも、この地域は、まさに中高一貫教育の「New LearningArea」といえるだろう。

東海中は、創立118年の歴史を持つ仏教(浄土宗)系の私学で、東京の芝中の兄弟校としても知られる。戦後はかなり早き時期から進学校として頭角を現し、現在に至る。単なる「進学校」という枠組みにとどまらない、スケールの大きさと深みのある教育により、元総理大臣の海部俊樹氏、哲学者で文化勲章授賞の梅原猛氏、直木賞作東海地区家の大沢在昌氏など、各界のリーダー的存在として活躍するOBを輩出。

その東海中の施設は、創立120周年記念事業で徐々に建て替えられていて、高校校舎はすでに完成。体育館、柔剣道場、プール等は今年4月に完成したばかり。2007年度入学生を迎えるための中学校校舎も現在建築中だ。かたよりのないトータルな人材育成のために、生徒の自主性を尊重して型にはめない教育を実践してきた同校が、さらに今後この新しい環境でどう発展していくのか楽しみだ。

Hot0612_13_1 名古屋中は、119年の歴史を持つプロテスタント系の男子進学校。同校は現在、2009年の完成予定で新校舎を計画中。現在は広い校地に点在する校舎をひとつにまとめることで、機能性も増し、グラウンドもかなり広く使えるようになるという。今後ますます、名古屋エリアの中学入試で注目される存在となってくるだろう。

南山男子部は、愛知の私学教育の中軸を支えるカトリック系の南山学園系列の男子校。1学年約200名の少人数体制を堅持し、さまざまな面で生徒の個性を伸ばす教育で高い評価を得て、創立75周年を迎えた。宗教の時間に限らず、「命の問題」、「平和の問題」などを考える機会が多く、それが生徒の意識を高めている。さらに今年4月からは、中学の指導、評価方法についての改革を開始。評価方法では、「絶対評価」と「個人内評価」を導入。「個人内評価」とは、前回または前々回の自分の成績と比較し、成績が伸びたかどうかを評価するものだ。

同じく南山学園の姉妹校である南山中女子部は、1948(昭和23)年、南山男子部の卒業生からの「わが娘のために女子部の新設を!」という要請に応えて開校した、カトリック男子修道会が設立した唯一の女子校。名古屋エリアの教育ニーズと、そこにおける南山学園の存在の大きさを物語るエピソードといえよう。

この南山女子部には、2006年3月に、待望の新校舎が誕生。「新校舎は校舎自体が“教材”であり、学校は双方向コミュニケーションの場ということを念頭につくられました。生徒が快適に過ごせるように空間の美しさやゆとりも重視しています」という。現在の高3では理系志望者が文系志望者を上回るという進路志向の変化も注目され、この新しい環境で、さらに同校の教育は進化していくに違いない。

[初出:NettyLandかわら版12月号]
(北 一成)

今回の「New Learning Area」は、中学受験の月刊情報誌『進学レーダー』11月号の特別企画「なごやの私立中高一貫校」の記事に基づくものです。関心のある方は、ぜひ同誌をご覧ください。

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2007年1月22日 (月)

一段と活気づく名古屋エリアの中学入試

受験生の期待と熱意が志望状況に反映

名古屋エリアの中学入試がさらに活気づいている。

下の表で紹介したのは、10月8日の全国中学入試センター模試における、名古屋エリアの私学への志望者数だ。

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まず男子では、359名の志望者があった名古屋中は119年の歴史を持つプロテスタント系の男子進学校。現在、2009年完成予定の新校舎を建築中だ。316名の志望者の滝中は、実業家・滝信四郎の設立した堅実派の共学校。314名の志望者の愛知中は、創立から130年の歴史を持つ仏教(曹洞宗)系の私学で、2004年に男子校から共学校化。

愛知の男子校の最難関でもある東海中の志望者は264名。創立118年の歴史を持つ仏教(浄土宗)系の私学である。南山男子部の志望者は165名。カトリック系の男子校で、創立75周年を迎え、愛知の私学教育の多くを支える南山学園の系列の男子校だ。

そして、今春に新設開校した海陽中等教育学校の志望者は、この段階で15名。民間企業設立の全寮制の男子エリート校として鳴り物入りで開校した同校だが、まだ決してこの名古屋エリアからの志望者は多くない。

女子の志望者数トップは346名の愛知淑徳中。ちょうど創立100周年を迎えた県下最古の私立高等女学校の伝統を持つ私学だが、この2006年に新校舎が完成。完全中高一貫教育をスタートさせ、「新しい学び」に取り組む。金城学院中は志望者323名で、愛知淑徳に次ぐ人気。創立から117年を迎えた東海地区最古の女子ミッション校で、大学系列だが幅広い進路に向かう自由な雰囲気の女子校だ。

南山女子部の志望者は301名。相変わらず人気が高く、愛知の私学では最難関レベルに位置している。共学の愛知中の女子志望者は274名。男子同様に高い人気を集めている。同じく共学の滝中の女子志望者は243名。南山女子部、東海に次ぐ難度で、幅広い人気を集めている。椙山女学園の志望者は100名。創立101年を迎えた幼稚園から大学院までの総合学園で、県内では幅広く親しまれている私学だ。そして南山学園系列の聖霊中の志望者は71名となっている。

こうして見ると、名古屋(愛知)エリアには、さまざまなタイプの私学があり、その多くが、確かな歴史の歩みのうえに、ちょうどこの時期、さらなる改革で発展を期している。表にはないが、2003年から中高一貫教育をスタートさせた名古屋国際中(共学校)などもその典型だろう。このほかにも、全国でもユニークな帰国子女受け入れ校である南山国際中も、この名古屋(愛知)エリアにある。

その名古屋エリアの私学が、いままさに活気づいており、そこに多くの期待が集まっていることは、こうした志望状況からもはっきりとわかる。今後の発展と成長を楽しみにしたい。

[初出:NettyLandかわら版1月号]
(北 一成)

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2006年11月 3日 (金)

名古屋と私立中高一貫校

名古屋エリアは、経済、産業の勢いがよい。経済や産業の勢いがよいということは、それを支える人材育成の拠点である学校の教育力もパワーアップしているということを意味している。

名古屋エリアは、経済や産業の勢いがよく、大きく注目されている。もともと製造業が強いのは周知の事実で、モノ作り力が名古屋の景気を牽引していると言われている。ただし、このモノ作りは、日本の伝統的な職人的技術とはかなりイメージが違う。

中部国際空港が開港され、グローバルな視野を取り込む準備が進んでいる。愛知万博が開催されたのは、ソフトパワーに基づいたモノ作りであることの象徴。名古屋駅周辺はJRセントラルタワーズ、豊田毎日ビルなど超高層ビルの建設が着々と進み、大都市化へ。

Kawara0609_15_1 経済や産業の勢いが増し、都市が豊かになるということは、それらを支える人材育成の拠点である学校の教育力も伸びるということを示唆する。実際、今春の東大合格実績では、愛知県の高校の実力は高い評価を得た。岡崎一宮東海など25名以上の合格を出した。名古屋ただし、東海以外は県立高校。旭丘刈谷などの県立高校も私立以上の合格実績を出している。また、名古屋駅から50分かかるとはいうものの、世に衝撃を与えた海陽中等教育学校が開設された。

もちろん名古屋エリアの私立中高一貫校は黙ってはいない。この2つの衝撃についてはすでに想定済みで、先を読んでそれぞれ独自に動き始めていた。その成果として、東海だけではなく、愛知名古屋なども大学進学実績を伸ばしている。

センター模試の志望者数を見ても、名古屋エリアの私立中高一貫校は勢いがよい。愛知、滝、聖霊は前年と比べて志望者数が120%を超えている。東海、南山(男子部)、名古屋、椙山女学園は前年対比115%を超えている。そういう中で、学校法人南山学園は、新たに付属の小学校開設の計画を発表。2008年度の開学を目指し、「小学校から大学までの一貫教育」の実現を考えている。

名古屋エリアの私立中高一貫校は、それぞれ独自の方法で名古屋エリアの経済、産業、都市を支えるソフトパワーのリーダーを育成しているわけであるが、さらに先を見た教育環境を整えている私立学校も出現。それは名古屋国際である。帰国生も受け入れ、欧米風の校舎を建築し、国際理解教育プログラムを充実し、教師の新しいコミュニケーションスタイルを追求し、学校をある意味、国際的コミュニティーに見立てている。帰国生の帰る地域は東京エリアとは限らず、彼らにとって学校探しは大変な作業。名古屋国際は、そういう帰国生にとっても重要な拠点になるだろう。

(本間勇人)
[初出:NettyLandかわら版9月号]

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